震度6強、福島最大の住宅被害・新地 震災10年、苦悩再び

亀裂が入り、今にも倒れそうなブロック塀を不安そうに確かめる今野さん=16日午前11時5分ごろ、新地町

 宮城、福島両県を襲った13日深夜の地震で、最大震度の6強を観測した福島県新地町は県内でも特に住宅被害が集中した。15日に雨が強まった町内は16日も強風が吹き荒れ、壊れた屋根をブルーシートで覆う作業を阻んだ。東日本大震災でも甚大な被害を受けた住民は「ここに住み続けるべきか…」と苦悩を漏らす。
(福島総局・吉田千夏)

 町を南北に貫く国道6号を車で走ると、屋根を青いブルーシートで覆った住宅が目に付く。土のうで押さえても、強い風にあおられシートは今にも飛ばされそうだ。

 町役場の南に約1キロの小川地区で祖母らと4人暮らしの会社員佐々木ますみさん(44)は、15日朝にシートで覆い始めたが間に合わず、正午前に2階の寝室の天井が雨漏りしだした。

 脚立にプラスチックの箱を立て掛け、天井から滴る雨水を伝わせてバケツに集める即席の排水装置を作った。排水作業に加え、ガラスが破れた窓から吹き込む風の音で寝付けず、昨晩は1時間半ごとに目を覚ました。

 佐々木さんは近くに断層が走っていることや、田んぼを埋め立てた緩い地盤が影響して被害が拡大したとみている。「ここに住み続けるべきかどうかも含め先が見通せない」と不安を隠さない。

 世帯数約2900の小さな町で住宅被害は約1300棟にも及び、県内の被害棟数(16日現在)の7割以上を占める。町役場付近を中心に被害は広範囲にわたった。

 「震災以上の強い揺れと大きな被害だった。10年もたったというのに安心できない」と話すのは、町役場の約4キロ南の今泉地区に住む無職今野保さん(77)。

 震災の2年前に亡くなった妻との思い出が詰まった自宅や庭は震災で打撃を受け、約3000万円かけて再建した。今回の地震で部屋の引き戸がびくともしなくなり、庭は地割れした。

 全長が約30メートルあるブロック塀にも亀裂が生じ、道路側に崩れそうだ。町に対策を依頼したが、調査は始まっていない。児童の通学路でもあり、危険を知らせるためコーンを探してきて設置した。

 「まだ表立っていない被害も多くあると思う。一日も早い再建に向け、町は速やかに罹災(りさい)証明書の発行を始めてほしい」と訴える。

 町は今週中にも罹災証明書の申請受け付け開始を周知したい方針だが、具体的な日程などは「現在、調整中」(総務課)という。

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