核燃料税、最少は宮城県 福井県の60分の1以下

 原発立地道県が電力会社に課す核燃料税で、東北電力女川原発(宮城県女川町、石巻市)がある宮城県の課税額が他道県を大きく下回ることが河北新報社の調査で分かった。東京電力福島第1原発事故後は7年続けて税収ゼロで、2019年度は同じ東北電に課税する青森県の約3分の1。停止中の原発への課税割合が低いためで、宮城県は税率見直しを検討する方針だ。
(「原発漂流」取材班)

税率の見直し検討へ

 各立地道県の19年度の核燃料税収(原発分)は表の通り。最多は大飯、高浜両原発が再稼働した福井の111億2900万円で、最少の宮城(1億8100万円)の60倍以上に上る。
 女川と同様に原発が再稼働していない道県で比べると、最多は新潟の34億6000万円。2番目に額が少ない茨城でも4億100万円で、宮城と倍以上の開きがある。原発2基の熱出力合計が3基の宮城とほぼ同じ石川は7億7000万円だった。
 核燃料税は課税の公平性の観点から、各道県ともほぼ横並びの課税基準を採用するのが一般的。原発事故前は原子炉に装荷する核燃料の価格に対して各道県が12~14・5%の税率(価格割)を課していた。
 価格割は運転に向けて燃料が装荷されなければ課税できず、再稼働が進まないと税収が入らない。このため福井は停止中でも安全対策費などの財政需要が発生することを理由に11年度、熱出力に応じて課税する「出力割」を新設し、全国に波及した。
 一方、宮城は13年度の核燃料税更新時に「原子力行政の今後が不透明」として出力割の導入を見送った。18年度に全国で最も遅く熱出力1000キロワット当たり年2万8000円の出力割を導入したが、ともに19万3800円で最も高い新潟、鹿児島の約7分の1に抑えている。
 宮城県税務課は「結果的に判断が甘かったかもしれない。次の更新時(23年度)に他道県とのバランスも取った形で(税率見直しを)協議する」と説明する。
 原発10基が立地した福島県は、原発事故後の12年12月に核燃料税を廃止した。

[核燃料税] 原発や使用済み核燃料再処理工場など核燃料を保有する施設の規模や燃料の価格、量などに応じて立地自治体が条例で事業者から徴収する法定外普通税。福井県が1976年に全国で初めて導入した。未使用の燃料が対象だったが、近年は使用済み燃料にも課税する動きが出ている。

特異さ際立つ宮城県、早期再稼働を想定か

 東北電力女川原発(宮城県女川町、石巻市)に対する宮城県の核燃料税水準は、同じく東北電に課税する青森県と比べても特異さが際立つ。女川原発の早期再稼働を想定したのでなければ説明がつかない税率設定が続いている。
 宮城、青森両県が東北電から徴収した核燃料税は表の通り。
 宮城県の核燃料税のうち、原子炉に装荷する燃料の価格に対して課す価格割は全国で最も高く、東京電力福島第1原発事故前から現在まで一貫して12%を維持する。原子炉への装荷は稼働が前提となるため、女川原発が再稼働していない宮城県の価格割税収はゼロが続く。
 他の立地道県は原発事故後、早期の再稼働が見通せないと判断し、事故前に12~14・5%だった価格割の税率を8・5%(新潟は4・5%)に下げる一方、原発停止中も熱出力の規模に応じて課税する出力割を導入した。
 宮城県によると、総務省と立地道県が核燃料税率を協議する際、価格割と出力割を合わせた「価格相当割」という税率で均衡を図るという。宮城の価格相当割は他道県と同程度だが、価格割に大きく依存しているため、実質税収は大幅に少ない。
 東北電東通原発(青森県東通村)を抱える青森県は2012年度、熱出力1000キロワット当たり年3万6000円の出力割を導入した。宮城が同2万8000円の出力割を導入した18年度は両県の税収がほぼ同じだったが、青森は翌年度の更新で出力割を15万3000円に上げ、宮城に差をつけた。実際の出力規模は女川原発(3基)が東通(1基)の約2倍大きい。
 宮城県税務課の担当者は「(価格割相当で)他の道県とのバランスを取った。意図的に税収が低くなるようにしたわけではない」と話す。

「東北電への事実上の優遇」

 政府の総合資源エネルギー調査会委員、橘川武郎・国際大大学院教授の話
 宮城県の核燃料税収の少なさは尋常でない。税率は価格割を高くして帳尻を合わせたつもりかもしれないが、原発が動かないと1銭も入らない。東北電への事実上の優遇措置だ。核燃料税は自治体と電力会社の力関係を測る物差しで、再稼働前は特に税率交渉で自治体側が有利のはずだ。核燃料税以外でも多くの自治体が再稼働への可否判断を盾にする中で宮城県が昨年、東北電ですら2022年度以降としている女川原発の再稼働に早々と同意したことは理解に苦しむ。甘い姿勢は核燃料税の問題と通底すると感じる。

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原発漂流

 史上最悪級の原発事故の発生から2021年3月で丸10年。原子力事業や原発政策の何が変わり、何が変わらないのか。教訓は生かされているのか。改めて検証する。

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