半鐘を鳴らし続けた消防団員 遺体に怒鳴った兄、「てんでんこ」願う 大槌・安渡

慰霊施設の除幕後、半鐘を鳴らす越田さん=2月28日、岩手県大槌町安渡地区

 東日本大震災で被災した岩手県大槌町の安渡(あんど)地区の高台に慰霊施設が完成し、2月28日に除幕式があった。消防団員の越田冨士夫さん=当時(57)=が、避難を呼び掛ける半鐘を鳴らし続けて命を落としたことを伝える半鐘台が設置された。

 地区では人口1953の1割を超える217人が亡くなった。半鐘は地区を担当する町消防団第2分団の屯所2階に保管されていた。停電でサイレンが作動しなかったため、越田さんは半鐘を持ち出し、津波にのみ込まれるまで打ち鳴らし続けた。

 第2分団の犠牲は越田さんを含めて11人。その事実を知った愛知県岡崎市の消防団員から、代わりの半鐘が寄贈された。

 式典に出席した越田さんの兄聖一さん(69)は、遺体と対面した際に「何で逃げなかったんだ」と怒鳴ったという。

 半鐘を10回たたいた後、取材に「人には『立派な行動』と言われたが、やはり逃げてほしかった。半鐘を鳴らさなくても済むよう、一人一人が津波てんでんこで素早く避難することが大切だ」と語った。

 町は地区別の慰霊施設整備に補助金を出しており、9カ所目の安渡が最後となった。

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