津波の教訓、風化防ぎ未来へ 木碑建て替え 岩手・大槌

木碑を背に、住民らが海に向かって手を合わせた=11日午後2時46分、大槌町安渡地区

 東日本大震災の発生から11日で10年となった。改めて「忘れない」と心に刻む人がいる一方、遺族にとっては「忘れられるはずのない」日々の積み重ねでもあった。震災で引き起こされた東京電力福島第1原発事故の影響も今なお続く。被災者、避難者、遺族…。一つの呼称では決してくくれない人生を、一人一人が歩んできた。

 「大きな地震が来たら戻らず高台へ」。岩手県大槌町安渡(あんど)地区で11日、震災の津波の教訓が刻まれた木製の碑が建て替えられ、住民にお披露目された。午後2時46分、住民らが木碑の前に集まり、地区の犠牲者217人に思いをはせ、海に向かい手を合わせた。

 建て替えを主導した地元の小国忠義さん(80)が「犠牲者のために、碑に込めた思いを胸に刻んで生きていく」と追悼。震災当時、安渡地区を拠点としていたNPO法人カタリバ(東京)の菅野祐太さん(33)が「若い人の力で教訓を何年もつないでいきたい」と語った。

 木碑は2013年、当時の大槌高生が「悲劇を繰り返さない」と発案し、津波到達点に建てられた。建て替えは4年に1度行われ、17年に続いて2度目となる。あえて風雨で劣化する木製にすることで建て替えるたびに教訓を心に刻み、風化を防ぐ狙いがある。

 安渡地区は町中心部に次いで犠牲者が多かった。大半が埋め立て地で標高が低く、津波でほぼ全域が浸水した。高台へ向かう道も急勾配で、避難が難しい地形だった。

 小国さんは「住民も危険性を分かっていて最初の避難は早かった。だが、その余裕からか、貴重品を取りに自宅に引き返した人がいた」と残念がる。

 今回の建て替えで、木碑の側面に大槌高復興研究会の生徒が考えた二つの文章が加わった。

 「日頃から備えておくことが笑顔につながる」

 「未来 帰らぬ人の想(おも)いを背負って繋(つな)いで生きていく」

 3年瀬戸翼さん(18)は「災害が起こる前からできることがあるということを、碑を見た人に伝えたい」と話した。
(坂本光)

河北新報のメルマガ登録はこちら
3.11大震災

復興再興

あの日から

復興の歩み

秋季高校野球東北大会 勝ち上がり▶


企画特集

先頭に戻る