<とびらを開く>集落跡地 交流の場に いわぬまひつじ村

 宮城県岩沼市沿岸部には南北約10キロにわたり、かつては六つの集落がありましたが、東日本大震災による津波で流され、住民は内陸部への集団移転を余儀なくされました。沿岸一帯にはその後、六つの公園と丘からなる「千年希望の丘」が整備され、集落の一つ、「二野倉(にのくら)」の跡地には、羊の牧場「いわぬまひつじ村」が設けられました。
 ひつじ村を運営するのは、青年海外協力隊のOB・OGらで構成される公益社団法人青年海外協力協会(JOCA)です。JOCAは2011年3月より災害救援専門ボランティアを被災地に派遣し、岩沼市もその一つでした。同年7月には岩沼市からの要請で、仮設住宅の見守り活動を開始。住民が孤立しないよう訪問や相談対応に当たりました。
 JOCAは被災地支援を続ける中で、荒れたままの場所も多い沿岸地区で何かできないかと考え、羊の放牧をすることにしたそうです。羊に雑草を食べさせて景観を変えることに加え、集団移転先やその近隣の人たちと一緒に整備することでコミュニティー活動の促進を図れないかと考えたのです。見に来た人に心を癒やしてもらいたいという思いもありました。
 そこで、岩沼市や集団移転先住民らの力も借りながら手作りの牧柵を15年に設置し、東北大農学部の協力を得て2頭の羊を放牧。羊は黙々と雑草を食べ、きれいな草地へと変わっていきました。16年からは、残っていたがれきを少しずつ撤去し、近隣住民のみならず岩沼市内外からも多くの協力者が集まりました。
 3ヘクタールの敷地には現在、牧場のほか、農園、広場、ドッグランも整備され、ワークショップやステージ発表などのイベントも定期開催しています。スタッフの松尾洋子さんは「多くの方々の協力のおかげで、年間3万人に来場いただけるまでなった」と話します。
 施設内ではまた、震災前の集落の様子から施設完成に至るまでの変遷を、多くの写真や展示などを通して伝えています。松尾さんは「二野倉に住んでいた方たちの思い出や暮らしについての話を、録音など他の形でも残していきたい」と話します。
 地域みんなで作り上げた「いわぬまひつじ村」は、被災地に思いをはせ、自然と触れ合い、新たな交流が生まれる場所へと再生されています。
(NPO法人せんだい・みやぎNPOセンター 鶴巻さやか)

◎参考情報 いわぬまひつじ村
住  所 岩沼市押分須加原61
営業時間 午前10時~午後4時(12月~1月末は午後3時まで)。年中無休(大雨の日を除く)
入場料 100円
連絡先 080(4105)5538、電子メールiwanumahitsuji@joca.or.jp
ホームページ https://iwanumahitsuji.jp/
ツイッター @iwanuma_sheep
インスタグラム https://www.instagram.com/iwanumahitsuji/?hl=ja

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