被災地のための祈り 1000年後まで 「命灯会」活動の出版費用募る

ろうそくをともし、祈る佐藤さん(右奥)と杉浦さん(中央)=3月11日、宮城県気仙沼市

 東日本大震災を機に始まった、宗教や宗派を超えて命と向き合い祈る「命灯会(みょうとうえ)」の活動をまとめた書籍「灯(とも)そう。」を出版しようと、岩手県一関市の僧侶らがクラウドファンディング(CF)で資金を募っている。 
 命灯会を行っているのは、一関市の藤源寺住職佐藤良規さん(48)と、宮城県気仙沼市のシェアオフィス運営会社社長杉浦恵一さん(34)。

 海と空をイメージした青いろうそくを2本ともし、震災で失われた命と今を生きる命の両方に思いを寄せる。日時や場所は自由で、祈りたい人が自分のタイミングで行う。2017年に始まり、震災10年となる今年3月11日には、気仙沼市をはじめ全国100カ所以上で開かれたという。

 震災時、佐藤さんは岩手県釜石市で津波に遭遇。トラックの屋根の上で約2時間半漂流し、なぜ生き残ったのかと苦悩する日々を送った。一方で震災以降、毎年3月に多くの寺院で開かれている追悼法要について、「寺が供養の場を設けて檀家さんに来てもらう形は、形骸化しているのでは」と違和感を感じていた。

 「思いのある人が宗教、儀式にとらわれずに自由に祈る姿こそ、本来の風景ではないか」。祈りの在り方について模索を続けていた時、杉浦さんと出会った。ろうそくをともし東北のことを考える「ともしびプロジェクト」を、11年11月から毎月11日に開いていた。

 2人は意気投合し、17年に命灯会の活動を始めた。命灯会について「鎮魂や追悼では言い表せない感情があふれたり、生きている実感が湧いたりする。生と死のはざまにある思いを表現できる場になれば」と佐藤さん。

 杉浦さんは「命灯会に共感し、共に祈る仲間を増やしたい」と出版の意図について説明する。「命の大切さを1000年後まで伝えるために、本を携えて全国で命灯会を開きたい」と希望を語る。

 CFは、専用サイト「GoodMorning」で18日まで。目標金額は、出版費用と全国を巡回するための資金計355万円。1000円から受け付けている。5000部発行し、新型コロナウイルスの影響を考慮しながら、5月から全国巡回する予定。

『灯そう。』の出版を目指すプロジェクト
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