保健所職員、終電帰宅もかなわず コロナ対応の最前線で過酷な業務 「いつ倒れても…」
「連日深夜2時、3時まで働き、翌朝は8時半から勤務が始まる。倒れるのは時間の問題です」-。
新型コロナウイルス感染が急拡大し、最前線で多忙を極める仙台市保健所の若手職員の母親から悲痛な叫びが「読者とともに 特別報道室」に届いた。市は今月、保健所への全庁的な応援態勢をようやく組んだが、職員の労働環境はもはや限界を突破している。
母親によると、3月中旬からの1カ月間で、職員が終電に乗って帰宅できたのはたった3回。午前3時半に帰宅しても翌朝は通常通り午前8時半に出勤する。時間外労働は「過労死ライン」とされる月100時間を優に超えるペースだ。
保健所はPCR検査や濃厚接触者の特定、陽性患者が滞在した施設の調査、療養先の調整、健康観察など重要な業務を担う。一日中、感染者や関係機関と電話でやりとりしたり、データ入力に追われたりする。
母親の証言では、職員は夕方を過ぎるころにやっと昼食を取る。それも持参したおにぎりをかじる程度で、ほとんど持ち帰ってくる。体が弱り、休日に手料理を出しても吐いてしまう。スポーツ経験があり体力に自信はあるはずだが、電車の揺れでもふらつくという。
母親は「今は根性で乗り切っているが、いつ倒れてもおかしくない。市は業務を分担した上で人員を拡充してほしい」と訴える。
一般的に公務員は労働基準法が適用されないため、市は職員の時間外労働の上限を条例で定める。だが、新型コロナ対応は大規模災害時と同様、市民の生命・身体保護に必要な「特例業務」として適用しない。
市労務課の須藤誠課長は「繁忙期が決まっている部局と異なり、新型コロナ対応は先が見通せず、不安や負担感が大きいことは理解する。民間委託も含め、負担軽減につながる方策を全庁で探りたい」と話す。
市は本年度、保健所業務の負担軽減のため、全庁から約250人の応援職員を投入する。ただ、新型コロナ対応は未経験の職員が大半のため、実際に「戦力」となるには時間がかかる。
市職員労働組合の矢作康彦書記長は「新型コロナ対応に関わる職場の実態を調べる必要がある。市立病院など公営企業の労組とも連携し、4月中に市側へ改善を要求したい」と語った。
(古賀佑美、高木大毅)
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