オーストリアの病院に勤務する斎藤若奈医師(仙台市出身)に「コロナ下のウィーン」の医療や暮らしをつづってもらう連載記事の第3回。河北新報オンラインニュースの独自記事としてお届けします。
今、ウィーン市ではPCRを増やし、ゆくゆくは抗原検査から全てPCRに移行する新プロジェクト、その名も「Alles gurgelt!(みんなでうがい!)」が始まりました。
その理由として、隣国ドイツが方針転換して抗原検査キットを買い集めてしまうことが予想されるため、と担当者は語ります。目標は一週間で200万件、コストは1検体当たり導入当初で8・5ユーロ、その後は5ユーロだそうです。
担当する民間企業では場所も人員も大幅に拡充し、125台のPCR装置とロボットを導入し24時間体制で検査を行います。検体はプール方式で、10人分を合わせて1検体として扱い、スーパーマーケットなどからの回収は郵便局が行います(リンク❶)。
この会社の社長は元心臓外科医で、すでにイタリアで大規模な検査体制を構築した経歴があります。イタリアでは小規模な検査会社が多数あり検査数も限られていたのを、彼は6年間で300もの会社を買収し検査体制を整えたそうです。
彼はこう語ります。「私の動機は実際のところ、10ユーロの検査キットを180ユーロにしてぼろもうけしている奴らが許せないから」(リンク❷)。「格好良すぎ」の発言ですが、今後どうなりますやら。
検査を積極的にしている国、検査が進まない国と事情はさまざまです。
日本の少ない検査数は先進国の中で最低レベル、という言い方もよく聞きます。実際、日本と欧米の陽性者数はグラフを比べれば桁違いですが(リンク❸)、ロックダウンや緊急事態宣言でカーブが下がっても下がり切るまでには至らず、変異株の影響で再上昇、という形は基本的に同じです。
ウィーンは厳しいロックダウンで、昨年11月から飲食店やホテルは閉まったままです。その上、こんなに検査して感染拡大を防ごうとしているけれど、なかなか思うようにいかない。ロックダウンによる鬱憤(うっぷん)がたまり、反対派のデモも大きくなってきています。
一方、日本は検査は少ないけれど死亡者数も少ない。日本の衛生対策がいいのか、それとも日本人が元々健康的な生活をしているからなのか。オーストリアのように検査にここまでお金をかけた対策が本当にいいのか。まだまだ分からないことばかりです。
連載の第1回で触れましたが、話は私が体に異常を感じた朝に戻ります。検査したいと思ってから約30分でキットを簡単に入手し、結果は陰性でした。精度がそれほど高くない抗原検査ですが、職場や家族など周りのことを考えると、やはり陰性という結果を手にするとホッと一安心したのでした。この先も注意して経過を見て調子が悪ければ再度PCR検査したいと思います。
今、日本でも変異株の流行が始まって大変だと聞いています。なかなか終わりの見えない戦いで精神的にもつらいですが、どうかこの波が収まるように祈りつつ、調子が悪いと感じたら休むようにして、地道に三密対策を続けていきましょう。
(ウィーン在住・医師・斎藤若奈)
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