ワクチン副反応、「若者」「女性」に多く メーカーによっても違い <連載・コロナ下のウィーン(5)>

 オーストリアの病院に勤務する斎藤若奈医師(仙台市出身)に「コロナ下のウィーン」の医療や暮らしをつづってもらう連載の第5回。河北新報オンラインニュースのオリジナル記事としてお届けします。

「緑のパスポート」のイメージ(Vienna atより)

妊婦や子供も接種対象に

 いよいよ日本でも新型コロナウイルスのワクチン接種が本格的に始まったと聞きました。オーストリアでは昨年末から始まり、これまでに接種可能な12歳以上の国民の約半数に当たる約390万人が少なくとも1回の接種を受け、その約半数は2回の接種を終えました(図1)。
 医療従事者、高齢者や基礎疾患のある人から接種が始まり、教職員そして一般人にも対象が広がっています。現在は妊娠13週以上の妊婦や12歳以上の子供にも拡大されています。
 ワクチンは現在4種類が認可されており、米ファイザー製が6割以上を占めますが、米モデルナ製も最近増えています。米ジョンソン・エンド・ジョンソン製はまだ少なく、英アストラゼネカ製は供給面に問題があってストップしています(図2)。
 ワクチン接種が進んだのも一因となっているのか、新規陽性者数はどんどん減り(図3)、私が働いていたコロナ病棟も5月末に急に普通病棟に変わりました。これまで防護服を着るのはもちろんのこと、聴診器やカルテすらも一切持ち込めなかったのが、急に普通に戻ったのは変な感じでした。
 

図1)人口のどれぐらいの割合がワクチン接種を受けたかを示すグラフ。年代別に8集団に分けられており、濃い緑色は2回接種完了、やや薄い緑は1回完了を示す。高齢者ほど接種が進んでいることが分かる(オーストリアの日刊紙DER STANDARDより)
DER STANDARD
図2)5月10日までの週ごとの接種数。承認済みの4種類のワクチンのうち、ファイザー製が一番多く使われている(オーストリア通信より)
図3)オーストリアの新規陽性者のグラフ。ワクチン接種が進んだためか大きく減った(オーストリア政府機関のサイトより)
オーストリア政府機関のウェブサイト

非感染の証明に「緑のパスポート」

 ロックダウンの段階的な解除とともに、オーストリアでは「緑のパスポート」の導入を試みているところです。感染者でないことを証明するもので、個人ごとに付与されたQRコードをスマートフォンなどで提示することにより、レストランや映画館、フィットネスクラブなどに行けるようになります。
 抗原検査を受けると陰性シールがもらえるので、子供たちはシールを集めを楽しむようになっています。台紙にはなぜか綿棒を持った忍者のキャラクターが使われています。
 7月からの観光シーズンに向け、このパスポートを欧州連合(EU)全体で共通化する計画で、国境をまたいだEU内の旅行も隔離期間なしに再開される見通しです。
 

子ども用の陰性パス。日本の忍者と思われるキャラクターが綿棒を持っている図柄

社会と経済を動きやすく

「緑色=感染性がない、もしくは現在感染者でない」という定義は、①ワクチン接種後9カ月以内②コロナ罹患(りかん)から6カ月以内③抗原検査で陰性後48時間以内④PCR検査で陰性後72時間以内⑤抗体検査で陽性(感染しにくいことを示す)から3か月以内―となっています。
 実際にはワクチン接種後でも感染した事例があり、中和抗体もどれくらい高ければ感染を防げるのかはっきりしておらず、この定義は医学的に100パーセント正しいと言えません。
 ただ、このように定義することで社会・経済は動きやすくなっています。

約7割が女性

 4月末にオーストリア連邦医療安全局より出されたコロナワクチン副反応報告のまとめによると、副作用の大部分は軽症で、数日以内に消失していました。副作用が報告されている年齢は若年層に多く(図6)、約7割が女性でした。
 副作用の頻度をワクチンの種類ごとに比較すると、ファイザー製とモデルナ製が接種1000回当たり3例前後だったのに比べ、アストラゼネカ製は25例と高い結果となっています(図7)。
 多い副反応としては、注射部位の痛みのほか、頭痛や疲労感がそれぞれ副作用報告のうち(ワクチン接種者全体ではありません)53%、筋肉痛や倦怠(けんたい)感が44%、発熱が33%、38度以上に限ると8%、関節痛26%、悪寒32%でした(図8)。軽症から中等症のものがほとんどで、重症は非常にまれでした。アレルギー反応は副作用報告の0・36%に見られました。
 アストラゼネカ製で問題となっているワクチン起因性免疫性血栓性血小板減少症による死亡例は1例認められています。

図6)副反応が出た人を年代別に示したグラフ。高齢者より比較的若い年代に多いことが分かる(政府機関のレポートより)
オーストリア政府機関による副作用のレポート

ワクチンへの「懐疑」低下

 オーストリアでは、ワクチンに対して懐疑的な人が多いのですが、コロナワクチンについては受け入れが早く、私としては驚いています。
 ウィーン大学の社会学者の調査では昨年12月にはワクチンを受けたいと答えた人が33%だったのに比べ、4月には59%に増えていました。ヨーロッパ人はやはり夏のバカンスを何とかして楽しみたい、という気持ちが何より強いのかもしれません。

ウィーン大学の社会学者による調査
図7)ワクチンの種類による副反応の比較(政府機関のレポートより)
図8)副反応の代表的な症状。複数回答を含むため各列の合計は副反応報告数を超える(政府機関のレポートより)
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