水道「みやぎ方式」に市町村やきもき 水質管理、災害対応の説明なし

仙南・仙塩広域水道用水の水源地・七ケ宿ダム=宮城県七ケ宿町

 上下水道と工業用水の運営権を一括して民間に売却する宮城県の「みやぎ型管理運営方式」を巡り、県広域水道の受水市町村が気をもんでいる。県は運営権設定の議案を県議会6月定例会に提出する方針だが、水質管理や災害時対応など重要事項に関し、詳細な説明がなされていないためだ。全国初となる管理運営方式だけに、受水自治体は丁寧な対応を県に求める。
(報道部・古賀佑美)

 運営権を売却する9事業のうち、水道用水は「仙南・仙塩広域水道」「大崎広域水道」の2事業。仙南・仙塩は17市町、大崎は10市町村が受水する。県が卸売り、受水自治体が小売りの関係。市町村は県から水を買って各世帯に供給する。

 各市町村の2019年度の給水量に占める広域水道からの受水割合は表の通り。自己水源がある自治体もあり、広域水道への依存度はそれぞれ異なる。

 県は4月9日、受水市町村との会議を開き、3月に優先交渉権者に選んだ水処理大手メタウォーター(東京)など10社グループの事業方針を説明した。だが、詳細な提案書は企業独自の技術が流出する恐れがあるとして、公開しなかった。

 仙台市水道局は、仙南・仙塩広域水道受水団体連絡会の代表幹事を務める。神倉崇経営企画課長は「水質をどのような管理体制で維持、向上させるか確認させてもらいたい。危機管理上、災害時の連絡窓口が誰になるのかもできるだけ早く知りたい」と話す。

 連絡会は昨年9月、運営権売却を進める県に対し、(1)水質モニタリングの確保(2)災害時の対応(3)撤退時の事業継続(4)費用削減効果を料金に反映(5)県民への丁寧な説明-の確実な実施を求める要望書を提出した。

 優先交渉権者の選定から議案提出までは、わずか3カ月。県は限られた期間で県民や受水自治体に説明を尽くすことになる。

 郡和子市長は4月28日の定例記者会見で「県への要望はこれまで何度も伝えている。市民、県民に説明が行き渡るようご努力いただきたい」と念押しした。

 給水量の100%を広域水道に頼る柴田町。滝口茂町長は「民営化自体は反対しないが、なぜこんなに急ぐのか分からない」と首をかしげ「価格改定時は市町村との協議の場を必ず設けてもらう」と注文する。

 県は30年にわたり、浄水場の運転管理を民間委託してきた。ある受水自治体の担当者は「運営権の一括売却は、これまでの民間委託の拡大にすぎないとして、特別丁寧な説明が必要だとは思っていなかったのではないか」と推測する。

 県は5月下旬に受水市町村の担当者を集めた会議を開催し、水質管理やモニタリング計画の骨格を示すことにしている。田代浩次水道経営課長は「市町村の助言を得ながら事業開始約1カ月前の来年2月中に実施計画をまとめる」と話す。

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