手の指の痛み、更年期症状かも

室井和美院長
後藤均院長

 40代以降の多くの女性が、手の指の関節が痛んだり、変形したりして悩んでいます。関節リウマチを心配して整形外科を受診すると、そうでなかった場合は「年のせい」「使い過ぎ」で終わりがち。ところが最近、更年期症状の一つかもしれないと分かってきました。改善と予防のためのサプリメントも出ています。
(生活文化部・阿曽恵)

こわばりと変形

 仙台市太白区の会社員女性(56)は、4年ほど前から両手の異変が気になりだした。指全体がこわばり、曲げ伸ばしをすると痛む。力を入れられず、瓶のふたを開けられない。関節が太くなって指輪が入らなくなってしまった。

 整形外科で血液検査を受け「関節リウマチではなく変形性関節症」と診断された。第1関節の疾患はヘバーデン結節、第2関節はブシャール結節だった。「病名は分かったが痛みは治まらない。どうしたらいいのか」

 青葉区のごとう整形外科でも、手指の痛みや変形を訴える新患が連日あり、ほとんどが更年期以降の女性だという。後藤均院長は「来院患者の中で関節リウマチの人はそれほど多くはない。結節などの場合、女性ホルモンの減少も原因の一つ」と指摘する。

 閉経前後約10年間(おおむね45~55歳)の更年期は、卵巣機能の低下によって女性ホルモンのエストロゲンの分泌が急激に減る。エストロゲンは生殖機能のほか骨、皮膚、血管、脳の健康を保つ幅広い働きがあり、減少するとほてり、めまい、肩凝り、不安といったさまざまな不調を来す。

大豆由来サプリ

 エストロゲンの不足が原因の更年期症状は、手指にも及ぶ。症状に応じて飲み薬や湿布、注射、テーピング固定、手術などの治療をするが、サプリメントで良くなった例もある。エストロゲンと似た働きをする大豆由来の成分「エクオール」だ。

 後藤院長は2019~20年、女性患者406人(平均年齢59歳)を対象に調査し、10ミリグラムのエクオールを含むサプリメントを3カ月間毎日摂取した後に、手指の症状がどう変化したか尋ねた。摂取した166人のうち81%の135人が「改善した」と回答した。

 「指の痛みは一定期間が過ぎると消えてしまう人が多いが、サプリメントでもある程度、和らぐことが分かった」と後藤院長。「栄養バランスの取れた食事をした上で、サプリメントが効くかどうか月単位で確かめてみるといい」と助言する。

 エクオールは婦人科でも注目されている。青葉区のあおば通りかずみクリニックの室井和美院長は「不足したエストロゲンの代わりとなるだけでなく、過剰なエストロゲンの働きを抑える効果もあり、乳がんの進行抑制が期待される」と話す。

 ただし重い更年期障害の治療のため、飲み薬や貼り薬でエストロゲンを補うホルモン補充療法とは別物。室井院長は「エクオールはあくまでもサプリメントで、薬ほどの効き目はない」とした上で「更年期に入る前から飲み始めると、つらい症状が出にくくなるかもしれない」とみる。

 手指の疾患にはほかに、曲げ伸ばしの際に引っ掛かりがある「ばね指」、親指から薬指にかけてしびれが出る「手根管症候群」、親指を動かすと手首に痛みが出る「ドケルバン病」、親指の付け根が痛む「母指CM関節症」などがある。更年期同様、エストロゲンの分泌が減る産後の授乳期にも起こりやすい。

エクオール、市販キットで判定

 女性ホルモンのエストロゲンと似た作用をするエクオールは、納豆や豆腐など大豆製品に含まれるイソフラボンの一種、ダイゼインが腸内細菌で代謝されて生みだされる物質だ。

 エクオールを産生する腸内細菌を持つ人の割合は、日本では2人に1人。持たない人は大豆をいくら熱心に食べても、エクオールには変換できず、エストロゲンのような働きは得られない。

 こうした腸内細菌の有無が簡単な検査で分かると聞き、記者(51)も受けてみた。名古屋大発ベンチャー企業のヘルスケアシステムズ(名古屋市)が開発した「ソイチェック」という市販のキットで採尿し、同社に郵送するだけ。キットは送料、検査料込みで4180円。

 判定結果は数日後、メールで届いた。「あなたは、エクオールをつくれていませんでした」。身もふたもないコメントと共に、5段階で最低の「レベル1」と明記されていた。好んで納豆を長年食べてきたのに、これにはがっかり…。

 ただ、整形外科医の後藤均院長の患者調査では、エクオールをつくれている人にも手指の関節に強い変形が見られた。発症する前の大豆を食べる習慣が、関節の変形程度に関係しているとはいえないという。

 腸内環境は体調でも変化するらしい。判定結果に一喜一憂する必要はなさそうだ。

エクオールをつくれているかどうか、記者が受けた検査結果の画面。自分を含め、受検者の56%がつくれていない
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