仙台の大規模接種、突貫工事で始動 7月末完了へ市、県、東北大まとまる

初日のセンターを視察する村井知事(中央)と郡市長(同右)。冨永病院長(右)率いる東北大病院の積極的なサポートで、運営体制が迅速に構築された=24日、仙台市宮城野区のヨドバシカメラ仙台第2ビル

 65歳以上の一般高齢者に対する仙台市の新型コロナワクチンの大規模接種は、24日の開始から1週間がたった。約27万人が対象の市は、個別接種を重視して体制を組んだが、政府が掲げた7月末までの接種完了目標を受け、大幅な見直しを迫られた。スピードを優先する宮城県がワクチン、東北大が医療従事者の手配に着手。突貫工事で、1日最大2100回の接種が可能な会場の開設にこぎ着けた。

 JR仙台駅東口のヨドバシカメラ仙台第2ビル(宮城野区)に設置された「東北大学(宮城県・仙台市)ワクチン接種センター」。運営する3者が並列ではないネーミングは、生みの苦しみを物語る。

 市は当初、個別接種8割、集団接種2割の比率で、6月以降の開始を想定。個別接種は高齢者にとって遠出の必要がなく、持病など安心して相談できるかかりつけ医などが行うが、ペースは集団接種より落ちる。完了は8月末を見込んだ。

 「7月末をめどに高齢者の2回接種を終えたい」。4月23日、菅義偉首相が期限を切ったことで、事態は一変した。

 市の枠組みは、個別接種を取り仕切る市医師会の協力なしには成り立たない。7月末完了に固執せずに確実な接種計画を綿密に組み立てた市医師会への配慮は欠かせず、市は身動きが取れなくなった。

 宮城県は、こうした市の内情を危惧。109万都市で感染を封じ込めない限り、県内全域で感染再拡大の火種はくすぶり続ける。

 「大規模接種会場が必要だ」。仙台市以外の高齢者、一般県民を見据えた接種推進の構想が東北大や県の関係者間で浮上。大型連休明けから、具体化の動きが一気に加速した。

 「モデルナのワクチン供給をお願いしたい」。村井知事は菅首相に直談判。面識のなかったワクチン担当の河野太郎行政改革担当相と粘り強く折衝し、安定供給の約束を取り付けた。

 県関係者は「与党系知事の中でも首相とのパイプは強固。緊急時にはこのつながりが明暗を分ける」と指摘。まん延防止等重点措置が県内に適用された4~5月、「第4波」の中で感染拡大を抑えた実績が奏功したとの見方もある。

 東北大も、感染力の強い変異株の流入で危機感を強めた。冨永悌二東北大病院長は5月8日の記者会見で「ワクチン接種は『オール宮城』で推進しなければならない」と訴えた。

 11日にオンラインで行われた県内の主要病院長会議では、大規模接種会場の適地を「仙台駅周辺」、接種は「24日開始」との素案が示された。東北大が主体となって医療従事者を確保し、市は会場運営に必要な職員を派遣する大枠が固まった。

 大型連休明けから半月余り。東京、大阪と同じ24日、センターが始動した。視察した郡和子市長は「接種は大いに加速し、希望する高齢者全員の接種が7月末に終えられる自信というか確信をした」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。

 夏に仙台市長選、秋には知事選が控える。郡市長は旧民進党、村井知事は自民党の出身だが、地方自治の現場、とりわけコロナ対策では一蓮托生(いちれんたくしょう)の2人。「結果として知事は市長を助けたんだ」。県幹部はつぶやいた。

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