利府の機関車「解体撤去」か「産業遺産」か

利府町の森郷児童遊園にある、解体される方針のEL(手前)とSL(奥)

 宮城県利府町の森郷児童遊園に設置されている電気機関車(EL)と蒸気機関車(SL)を巡り、劣化や危険性を理由に撤去する町の方針に対し、鉄道愛好家や町民有志が保存を訴えている。町は8日開会の町議会6月定例会に解体撤去事業7260万円などを盛り込んだ2021年度一般会計補正予算案を提出。町民有志は保存会を設立し共感の輪を広げようとしている。

 車両は町が誘致し、旧国鉄から無償貸与され1975年に設置された。ELはED91形で長さ13メートル、高さ4・1メートル、SLはC58形で長さ18メートル、高さ3・9メートル。

 どちらも風雨にさらされ鉄さびなどが付着している。町によると、SLにはアスベスト(石綿)が使われ、ELには製造年から推測してアスベストと有害物質ポリ塩化ビフェニール(PCB)が含まれている可能性が高いという。安全確保のため、現在は周囲を柵で囲っている。

 町は(1)児童遊園を子どもたちがより快適に遊べるよう整備する(2)有害物質など危険性が高い(3)修繕するとすれば約3000万円かかる見込みで定期的な修繕にも費用がかさむ-ことを主な解体理由に挙げる。周辺町内会から反対の声も上がらなかったという。

 解体方針に関し、鉄道ファンでつくる「みちのく鉄道応援団」(仙台市)の佐藤茂代表幹事は「ED91形は産業遺産だ」と価値を強調する。1955年に仙山線で始まった日本初の交流電化の実地試験に使われた4車両のうち現存する唯一の車両。この試験の成果が、後の新幹線の誕生にも大きく寄与したという。

 町民ら10人の有志は保存を求める団体「利府町機関車保存会」(仮称)を5月に組織した。町出身で発起人の主婦針生英絵さん(34)=仙台市宮城野区=は「両車両とも子どものころに遊んだ思い出が詰まっている。町には新幹線の車両基地もあり、新幹線の誕生につながるELは町民の宝だ」と語る。

 市民有志の保存会が清掃などを担う同市青葉区の西公園のSLを例に挙げ「行政と町民らが手を携えて保存する道を探っていきたい」と話す。

 会は保存に向けたワークショップを12日午後1時半、同町の町交流型起業支援施設「tsumiki」で開く。参加無料。予約不要。連絡先は針生さん090(6229)3769。

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