宮城県利府町にある森郷児童遊園に保存され、解体するかどうかを巡って議論となっているED91型電気機関車(EL)は、全国初の交流電気車両として国鉄仙山線(当時)を実際に走っていました。「変電所を持ったEL」との異名を持ち、東北をはじめ全国の地方幹線電化や新幹線開発の礎を築いたED91型。河北新報社に残る過去の記事や写真を手掛かりにその軌跡をたどります。
(編集局コンテンツセンター・藤沢和久)
交流2万ボルトの電気を水銀整流器で変電するED91型は1955年、直流モーターを回す交流電気機関車の国産第1号機のED45型として誕生し、その後改番されました。別の方式を採用した交流電気機関車のED44型とともに作並機関区に配置され、仙山線陸前落合―熊ケ根間で試験運転を始めます。
当時の河北新報は「最高時速85キロ、上り勾配で800トンけん引できる」との見出しでED91型を紹介していました。55年11月4日には「国鉄電化に明るい見通し 机上計算より優秀」と報じ、蒸気機関車(SL)や既存の直流ELより性能が高いと解説しています。
記事によると、交流電化は直流に比べ「7割以下の費用で済む」そうです。電圧が高いことから、変電所建設など設備投資が抑えられるためです。幹線を含めて大半が非電化だった東北にとって、希望に満ちた明るい話題だったとうかがえます。
利府町に保存されているED91型11号機は、1号機の試験結果を踏まえた改良型です。11号機が完成した57年3月、製造された東京芝浦電気(現東芝)の工場で撮影したとみられる写真が河北新報社に残っています。
その年に営業運転が始まりました。ED44型1号機とED45型1、11、21各号機の計4機体制で、7月から北仙台―作並間の貨物列車2往復、9月から仙台―作並間の旅客列車7往復をけん引します。
仙台駅構内の工事は突貫で進められました。開業の1週間前なのに架線に電気が通っておらず、蒸気機関車に引かれて入線試験をする様子の写真もあります。
当初は故障も多かったようです。9月5日の旅客営業開始を告げる前日4日の朝刊には、ED45型11、21両機が使えないため一部を蒸気機関車でけん引するとありました。18日には「突然、動かなくなる」との見出しで故障続出を伝えています。
それでも、改良を重ねて性能は次第に安定していきました。国鉄は58年、直流だった作並―山寺間を含む仙山線全線の交流化を決めます。59年の東北線黒磯―白河間を皮切りに、交流電化は在来線、そして新幹線へと広がっていきました。
ED91型は70年に全て廃車となります。うち解体を免れた11、21号機は長町機関区(仙台市太白区)に保管されました。74年の記事は「将来は東京の鉄道博物館に陳列されるだろうという逸品なのだが(中略)雨ざらしになり、赤さびが痛々しい」と記しています。
その後11号機は75年7月14日、SLのC58型354号機とともに森郷児童遊園に移されました。81年の新幹線車両基地の完成によって「鉄道の町」となる利府町が、交通博物館を建設する構想を温めていたようです。2004年には活躍した作並の地に戻る計画が浮上したものの、いずれも実現しませんでした。
21号機は既に解体されており、11号機は国内に残る唯一の史料です。ただ、引退後50年以上も風雪に耐えた車体は痛々しく、往時の輝きはありません。高度経済成長期にはまさに最先端だった11号機。産業遺産の保存の難しさを伝えてもいます。
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