野山を歩くのにいい季節となりました。そこで出合ったら怖いのがクマ。仙台市の住宅地に出没する例もあり、今年は水の森や北中山でも目撃されています。「クマよけ鈴は効果あるの?」「死んだふりをすれば大丈夫?」。クマの生態に詳しい土屋剛・元石巻専修大教授(動物比較形態学)に注意点や対処法を聞きました。
(編集局コンテンツセンター・佐藤理史)
―夏はクマに出合いやすいのですか
「餌が少なくなる時期なので、人里に下りて、トウモロコシなどの農作物を狙うことが多くなります。春はブナの新芽やミズバショウ、ネマガリダケと餌が豊富です。秋にドングリができるまでの夏場は危ないといえます」
―出没が多い年と少ない年があるのはなぜですか
「クマが好むブナの実の豊凶に左右されます。昨年は凶作だったので、人里への出没が増えました。ことしは新潟県の情報でブナの開花が良いらしく、大豊作になりそうです。ことしの秋はクマが山にとどまり、人里への出没は減るかもしれません」
「豊作の年は妊娠しやすくなるので、来年は子連れのクマが増えるでしょう。クマは冬に1~3頭を出産し、2歳ぐらいまで共に行動します。母グマは神経質でとても危険です。子グマを見つけても絶対に近づかないでください」
―出合わないようにするにはどうすればいいですか
「明け方と夕方に活発に活動するといわれますが、日中もおなかをすかせて歩き回ります。クマよけ鈴やラジオを持ち歩き、こちらの存在を知らせるのが対策の基本です」
―クマよけ鈴は本当に効果がありますか
「2016年、秋田県鹿角市で4人がクマに襲われ死亡した事故がありました。本来、クマは臆病なので、人の気配を感じれば逃げたり隠れたりしますが、人を襲うことを覚えたクマには(存在を知らせることは)逆効果になります。現在、宮城県内でそのようなクマは報告されていません」
―出合ってしまったら、死んだふりをするのがいいともよく言われますが
「絶対に駄目です。餌だと思われ、かまれたり、引っかかれたりして大けがをします。恩師の玉手英夫先生(東北大名誉教授・故人)が著書『クマに会ったらどうするか』で書かれた対処は『立ち止まったまま話し掛ける』です。ゆっくり両腕を振るなどして大きく見せて、目を離さず、静かに遠ざかるのがいいでしょう」
―襲い掛かってきたらどうすればいいですか
「目つぶしやともえ投げで撃退したというニュースを耳にしますが、普通の人には無理です。効果が高いのは撃退スプレー。唐辛子の成分でできています。風下にいると、自分にも影響がありますが、それで助かるならいいでしょう」
[メモ]クマよけの鈴はアウトドア用品専門店などで販売しています。仙台市青葉区の「石井スポーツ仙台店」では13種類を取り扱っています。真ちゅう製は音が高く、遠くまで響きます。山以外の場所では消音できる機能が付いた商品もあります。価格は400~2700円ほど。クマ撃退スプレーは1万~1万2000円。噴射距離は8~10メートルですが、4、5メートルの距離から顔面に命中させることが必要となります。有効期限は3~5年。スプレーを過信せず、まずはクマに遭わないことが大事です。
[土屋剛(つちや・たけし)氏]1947年埼玉県生まれ。東北大大学院農学研究科博士後期課程修了。97年から石巻専修大理工学部教授となり、2018年に退官。宮城県特定鳥獣保護管理計画検討・評価委員会委員、日本鹿研究協会会長。73歳。
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