新電力伸長、東北のシェア14.6%に 全国4番目の水準

 電力・ガス取引監視等委員会は15日、2016年4月の電力小売り全面自由化から丸5年となる3月の販売電力量を公表した。東北電力管内(東北6県と新潟県)の新規参入事業者(新電力)のシェアは14・6%で、ここ数カ月は14~15%台で推移。大手10電力エリア別に見ると全国4番目の水準となる。

 東北電管内の新電力シェアはグラフの通り。18年3月に10%、20年8月に15%を初めて超えた。16年度以降の新電力への切り替え(低圧)は累計約84万件。3月のシェア上位は東京(27・2%)、関西(22・4%)、北海道(20・2%)の各電力管内だった。

 全国の法人を対象に小売電気事業を展開するエネット(東京)は、東北電管内の契約件数が5年間で3・7倍に増加。19年7月には東北支店(仙台市)を開設した。再生可能エネルギー由来の電力供給などで事業活動の二酸化炭素(CO2)排出量削減を支援するメニューを用意。担当者は「価格競争から付加価値提供による競争へのシフトを図る」と説明する。

 

卸価格高騰で打撃

 伸長する新電力だが、そこに冷や水を浴びせたのが昨年末から今年初めの需給逼迫(ひっぱく)に伴う電力卸価格の高騰だ。自前の発電設備を持たず、販売する電力の多くを市場調達に頼る企業ほど経営に打撃を受けた。

 帝国データバンクによると、全国の新電力706社(4月7日現在)のうち、事前に計画した供給量を確保できなかったことへの罰則「インバランス料金」の分割払いを認める特例措置を受けるのは174社で、全体の4分の1を占める。

 福島県葛尾村などが出資する同村の葛尾創生電力は、村内限定で電力供給する特定送配電事業で約1600万円のインバランス料金が発生。今年の冬は発電事業者との相対取引で供給量の5割を確保し、価格変動リスクを避けるという。

 同社は年度内に村外も対象とした小売電気事業に参入する。収益の一部を村の振興事業に活用する方針で、鈴木精一副社長は「価格や安定性、再生エネの導入をけん引する大手電力と、地域課題を解決する地域新電力が共存するのが理想形だ」と語る。

 攻め込まれる側の東北電は、小売りの販売電力量が16年度の742億5800万キロワット時から、20年度は662億6500万キロワット時(20年4月分社の東北電力ネットワーク分を含む)まで減った。

 ただ、再生エネ特別措置法に基づく賦課金など見掛け上の収入を除いた売上高は20年度が1兆6794億円で、全面自由化初年度の16年度(1兆6806億円)と同水準を保つ。

 東北電は全面自由化後、家庭向け料金の6プランを新設して利用者ごとのニーズに対応。さらに卸売りや産業用のガス小売事業で売上高をカバーする。東北電は「価格、非価格の両面で競争力を高める」と強調する。

[電力小売り自由化]各地域の電力会社が独占していた電力販売を新規参入事業者にも認める制度改正。2000年3月に大規模工場やオフィスビル向けの「特別高圧」で始まり、04年4月と05年4月に中小工場やビル向けの「高圧」に拡大された。16年4月には家庭や商店向けの「低圧」を含めて全面自由化され、全ての消費者が電力会社を自由に選べるようになった。

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