挙式自粛ムード、山形は一段と 20年度の売り上げ8割減 「親や親族の発言力強く」

感染対策としてマスクと手袋を着用して新郎新婦を出迎えるスタッフ(冠婚葬祭会社のジョイン提供)
コロナ禍で苦境に立つ婚礼業界への支援を求める要望書を県幹部に提出する武田会長(右から2人目)=山形県庁

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う自粛ムードの中で、山形県内の婚礼業界が苦境に立たされている。結婚式や披露宴の規模縮小ではなく、延期・中止を選ぶ傾向が他県よりも強いとされ、売り上げは大きく落ち込んだままだ。業界団体は「結婚式は不要不急ではない」と県に支援を求めている。

 県内の11社で構成する「山形ウエディング協議会」によると、会員企業のうち式場を運営する7社の2020年度の年間売上額が19年度に比べ77%(約25億円)減少した。国の緊急事態宣言下でも売上額がコロナ禍前の7、8割の水準で推移する首都圏に比べ、回復が遅い。

 武田靖子会長は「婚礼業界はサービスや打ち合わせを担当するスタッフ、料理人などが欠かせない労働集約型の産業。施設の維持費や人件費などがかさみ、赤字幅が深刻な企業が多い」と説明する。業界は県の公的支援の枠外であり、苦境が続いているという。

 他の会員企業も窮状を訴える。各社からは「新郎新婦の勤務先から『式を挙げないでくれ』と言われて取り消された」「幸せを胸を張って示せないカップルの姿に、スタッフのモチベーションも下がっている」などの声が上がる。

 背景には山形特有の事情もある。

 協議会理事で岩手、宮城、山形各県で貸衣装店を経営する矢口(東根市)の矢口匡彦社長は「宮城では参列者を家族に絞るなどした挙式が増えたが、山形ではほとんどない」と説明。「親や親族の発言力が強く、挙式すれば周囲からどう見られるか気にしている」と明かす。

 協議会は5月31日、救済策をまとめた要望書を山形県に提出した。カップルへの婚礼費用助成事業の実施や、結婚式が自粛対象には当たらないとの情報発信の強化などを求めた。

 業界ではマスク会食の呼び掛けや出席者間の距離を取った会場レイアウトの設定、スタッフの健康チェックなど感染対策の取り組みが進む。協議会によると、結婚式でクラスター(感染者集団)が発生した例は全国でもないという。

 武田会長は「県には県民が一体となって(カップルを)応援する機運の醸成と直接的な支援をお願いしたい」と話した。

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