【動画】ブドウの恵み凝縮 シェフが仕込む自然派 宮城のワイナリー探訪(2)

廃校の体育館を改装したワイナリー

 宮城県川崎町の廃校となった小学校の体育館に2018年、ワイナリー「ファットリア・アル・フィオーレ」が誕生しました。仙台市太白区の人気イタリア料理店を閉め、一からワイン造りに挑戦した顧問の目黒浩敬さん(43)。胸に秘めた思いは何だったのか。自然の恵みを凝縮した魅力的なワインを生み出すワイナリーを訪ねました。
(編集局コンテンツセンター・佐藤琢磨)

農薬や化学肥料を使わず育てられているブドウ=2021年6月2日、宮城県川崎町

 ワイナリーの入り口で風に揺れる草木染ののれん、伝統的な木組みで仕上げられたショップ。ワインのボトルには手すき和紙のラベルが貼られています。体育館をワイナリーに改装するのに地元の施工会社や大工さん、陶芸、草木染などの職人さんら多くの人が関わりました。月に1度、目黒さんの料理とワインを楽しむイベントや演奏会が開かれています。

 ワイナリーを中心に地域の食文化や芸術、伝統工芸、産業に携わる人たちをつなぐ場所を設けたかったという目黒さん。「生活に根差したところから食文化を充実させたい」と2015年、オーナーシェフだったイタリア料理店「アル・フィオーレ」を閉めました。予約を取るのも難しいと言われた人気店だけに、惜しむ声は少なくありませんでした。

草木染ののれんがたなびくワイナリーの入り口=2021年6月2日、宮城県川崎町

 目黒さんの背中を押したのは、東日本大震災時に被災地で振る舞った炊き出しに喜ぶ人たちの笑顔でした。「ハレの日の料理を作るのもいいけれど、普段の食卓ももっと大事にしたい」との思いが募ります。東京電力福島第1原発事故の影響もあり、故郷の福島にワイナリーを開く夢はかないませんでしたが、川崎町出身のスタッフの縁もあり、現在の場所に「ファットリア(イタリア語で農園)」の名前を冠したワイナリーをオープンさせました。

 目黒さんのワインは、いわゆる「自然派」。亜硫酸塩などの添加物を使わず、ブドウの果皮などに付着する野生酵母で醸造します。町内にある2ヘクタールの自社畑と、山形県や青森県、福島県などの契約農家のブドウを原料にしています。

 ラインアップは「ネコ」「ファットリア・アル・フィオーレ」「リミテッドエディション」の3シリーズ。赤、白、ロゼ、スパークリングのほか、白ワイン用のブドウを果皮まで使ったオレンジワインなど20種類を造っています。目黒さんの飼い猫の名前が付けられたネコシリーズは全7種類あり、それぞれの猫をイメージした味わいだそうです。

色も味わいもさまざまなワインが並ぶ店内=2021年6月2日、宮城県川崎町のファットリア・アル・フィオーレ

 ネコシリーズの「sola(ソラ)2020」(750ミリリットル、3300円)は白のスパークリングワイン。はじける泡が「元気でやんちゃ」なソラの象徴です。20年産では早詰みと完熟、たるで熟成させた3種類のデラウェアを用い、大人になったソラを表現しています。

 味わいはレモンやリンゴ。蜂蜜の香りがあり、後味に少しの苦みと穀物の風味が心地よく残ります。レモネードのようにごくごく飲める爽やかなワインに仕上がりました。スタッフの鵜飼菜帆さんは「梅雨の時期にぴったり。唐揚げやコロッケなど揚げ物と一緒にどうぞ」と勧めます。

 ワイナリーでは日替わりで3シリーズから4種類をそろえ、有料試飲(20ミリリットル、125円)を行っています。お好みの「一匹」を探してみるのも楽しそうです。

 ラベル貼りや瓶詰め作業のボランティアも募集中で、鵜飼さんは「私たちと一緒にワイン造りを体験しませんか」と呼び掛けています。

 ワイナリーでの販売が中心でオンラインストアはありませんが、電話やメールでも購入可。連絡先は0224(87)6896、メールinfo@fattoriaalfiore.com

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