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癒やし系の乗り物「ナムナム号」で愛子大仏参拝 仙台西部に知る人ぞ知るパワースポット

ゆるゆる進むナムナム号
愛子大仏
ゆっくりと斜面を進むナムナム号

 奈良・東大寺の大仏は疫病(天然痘)の流行など社会不安を背景に安寧を願って建立されました。仙台市にも、心穏やかでいることが難しい今だからこそ訪ねてみたい「知る人ぞ知る」大仏があります。市西部の青葉区芋沢にある仏国寺。小高い丘の上に「愛子大仏」が鎮座しており、小型スロープカー「ナムナム号」に乗って参拝することができます。遠くまで旅することは難しい状況が続く中、コロナ禍が一日も早く終息するよう、身近な大仏にお参りしてきました。(編集局コンテンツセンター・佐藤理史)

愛子さま生誕祝って

 市中心部から西へ約10キロ。県道55号沿いに車を走らせると、突如として大きな後ろ姿が現れます。JR愛子駅北側の高台に位置し、穏やかな表情で愛子の町並みを見下ろしています。

 16メートルあるという高さは、何と奈良の大仏とほぼ同じ。繊維強化プラスチック(FRP)製です。斜面に広がる約300基の墓と、台座下にある納骨堂の守り本尊として、2002年10月に建立されました。

 建造を計画していた01年12月1日、天皇、皇后両陛下(当時は皇太子ご夫妻)に長女愛子さまが誕生しました。皇室ファンだった先代住職の東和聖林和尚は、愛子(あやし)の表記が同じであることを喜び、生誕を祝う意味合いも重ねたそうです。

 大仏脇の斜面を走るのが、鮮やかな黄色が目を引く「ナムナム号」です。最大9人乗りで電気で動き、「駐車場」「霊園」「仏国寺」の3駅を結びます。霊園駅での途中下車も可能です。大仏建立の約2年後、高齢者らが参拝しやすいようにと設置されました。

 ドアはなく、簡易なバーを上げ下ろしして乗り込みます。行き先のボタンを押すと、発車ベルが鳴って出発進行。ガタゴト揺れながら、長さ約85メートルの斜面を約2分かけてゆっくりと進みます。

麓の「駐車場」駅に止まるナムナム号(手前)。奥は愛子大仏=2021年6月21日、仙台市青葉区芋沢の仏国寺

開かれた寺として

 ナムナム号の愛称は、子どもからお年寄りまで親しみやすいようにと付けられました。「一休さん」という案も上がりましたが「尊敬する高僧には乗れない」と先代が却下したそうです。

 決まった運賃はなく、浄財を寄せてもらいます。経済的に苦しい一人親家庭を支援する活動に送っているといいます。

 仏国寺は1989年に開かれた比較的新しい寺です。聖林和尚が長年、仙台市内で続けた托鉢(たくはつ)で得た浄財を元に土地を買い、代金は「実費のみ」として墓地を分譲したのが始まり。現在は檀家(だんか)数約1200となっています。

 聖林和尚は2年前に82歳で亡くなり、次女の林妙(りんみょう)さん(40)が住職を継ぎました。「無宗派で、誰にでも開かれたお寺です。墓参りでなくても、大仏を見に、ナムナム号に乗りにだけでも来てください」と林妙住職は言います。

 かわいらしいナムナム号は、今日も元気に坂を上ったり下りたりしています。

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