ヤギ観光牧場「がらがらどん」開園 原発事故経て養豚から転身

オープンさせた観光体験牧場でヤギの世話をする鎌田さん(右)と会津さん

 東京電力福島第1原発事故で一部を除き避難指示が解除された福島県葛尾村に、観光体験牧場「かつらおヤギ広場がらがらどん」が5月下旬にオープンした。牧場を経営する鎌田毅さん(78)らが村の活性化につなげようと構想を描き、約4年かけて実現させた。

 約4ヘクタールの牧場内に約80頭のヤギの鳴き声が響く。餌やりなどの触れ合いを楽しむことができ、ヤギのミルクを使ったアイスやパンなども販売。鎌田さんは「村人みんなが笑顔になる場になればいい」と願う。

 1946年、当時3歳だった鎌田さんの家族5人は旧満州から葛尾村に入植。父母らが荒れた土地を鍬で耕して田畑を整備し、一家はタバコ栽培や炭焼きなどで生計を立てた。鎌田さんは成人後、一時村から出て働いたが41歳の時、村内で妻と2人で養豚場「鎌田農場」の経営を始めた。

 原発事故後、一時避難した須賀川市や福島県柳津町から、毎日豚の世話のために村に通ったが、将来が見通せず、約800頭の出荷を見届けて廃業した。

 観光体験牧場の設立に向けたきっかけは4年前。除染関係の仕事のため村を訪れ、村役場職員の会津勉さん(68)らと酒を酌み交わし、村のために何かしたいという思いを共有した。

 「会津さんが飼ってるヤギでなんかできねえかな」。2017年12月に有志で運営会社「かつらおファーム」を発足させ、鎌田さんが代表、会津さんは専務に就いた。村民から畑を借りて土地を切り開き、会津さんが栃木県那須塩原市で飼育していたヤギ30頭から牧場を始めた。

 開園は新型コロナウイルスの影響で予定より1年の遅れを余儀なくされたが、準備期間と捉えて駐車場や売店の整備に充てた。牧場名は絵本「三匹のやぎのがらがらどん」から取った。感謝の気持ちを込めて観光客から贈られた絵本が、売店の窓に飾られている。

 オープン以降、家族連れら約2000人が訪れた。今後、乳搾り体験の実施も予定しており、会津さんは「まだまだスタートライン。やりたいことはいっぱいある」と意気込む。

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