山形のサクランボ盗難、今年はハイペース 不作も影響?

 山形県で収穫最盛期を迎えた特産サクランボの盗難が相次いでいる。県警によると、被害届は25日までに6件、計約225キロ(125万4000円相当)に上り、近年にないハイペース。1月の豪雪や4月の霜被害を受け、収量は25年ぶりに1万トンを割り込む見通しで、不作が被害増加の一因との見方もある。

盗難被害に遭った奥山さんのサクランボ畑。「残る実も早く取らなくては」と急ピッチで収穫に励む

 「お金の問題ではない。手間と時間をかけて育てた作物が盗まれ、悔しくてしょうがない」。東根市の生産者奥山啓治さん(66)は今月中旬、品種「佐藤錦」約100キロ(50万円相当)の盗難被害に遭った。

 真っ赤に色付いた実が増え収穫初日を迎えた19日早朝、手伝いの人々と顔合わせの最中、実が減っていることに気付いた。奥山さんが園地を確認した前日午後3時以降、被害に遭ったとみられる。

 脚立が使われた形跡はなく、手の届く高さにあった赤い実が軸ごともぎ取られていた。被害は約1アールのハウス内にある佐藤錦の木13本全てで確認された。

 奥山さんは自宅近辺に点在するハウス11棟をほぼ1人で管理する。「園地の手入れだけで精いっぱい。盗難対策も、となると正直やっていられない」と胸の内を明かす。

 県警によると、被害届の提出はここ5年は0~3件で推移。しかし今年は天童市で佐藤錦15キロ(4万5000円相当)の盗難が13日に確認されたのを皮切りに、鶴岡市や寒河江市などで立て続けに確認された。収穫作業を優先して届け出ないケースもあり、被害は「氷山の一角」とみられる。

 県が5月に公表した作柄調査の結果によると、収量は前年の73%の9500トン。価格も高騰し、前年より1~2割高い日が続く。県警関係者は「不作も盗難が相次ぐ一因ではないか」と指摘する。

 被害頻発を受けて農協、県警、県でつくる対策本部は21日、緊急の会議を開いた。県農協中央会の折原敬一副会長は「組織を挙げて取り組んできたが、被害が連続している。何とか手だてを講じる必要がある」と危機感をにじませた。

 生産現場は対策を強化する。さくらんぼひがしね農協(東根市)は週3回程度、職員と生産者有志が巡回車で園地周辺を見回り、「警戒中」と記したのぼり旗の設置も進める。

 同農協の担当者は「これ以上、打つ手がない。生産者は1年で一番忙しい時季に収穫に集中したい、ただそれだけだ」と吐露する。

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