<ヤングケアラー 東北の現場から> (中)学業との両立限界 「疲れた」相談できず孤立

秋保さんがつづった介護記録。大好きだった祖母への複雑な思いがのぞく

 「5月29日 ばあを激しく怒った」「8月9日 お腹(なか)のあたりをなぐってしまった」

 仙台市のパート従業員秋保秀樹さん(33)が記した認知症の祖母の介護日記には、当時の生活と胸中が生々しく描かれている。

 一人親家庭で、祖母の世話を働きに出ている母と分担。高校1年からの2年間が最も大変だった。

 祖母はデイサービスを極度に嫌がり、行く前日の夕方から当日の未明まで「行きたくない」と駄々をこね続けた。夜中のトイレはいつも間に合わず、その都度、掃除しなければならなかった。

 寝不足続きで学校の授業中に起きていられず、成績が急落。放課後は祖母の世話があり、所属していた弓道部の活動から次第に足が遠のいた。

 テレビを見る暇がなく、友人との会話も減った。「どうにかなりそう。そのうち祖母を殺しちゃいそう」という本心は友人にも明かせなかった。特別養護老人ホームに入所してもらうことも考えたが、デイサービスさえ嫌がる祖母には難しいと諦めた。

 学業との両立が限界に達し、高校3年の1年間を休学、後に退学した。23歳の時に祖母をみとるまで世話を続けた。

 「日常がどんどん介護に浸食されて、とにかく疲れ果てていた。祖母の世話をする以前の自分を取り戻したかった」。秋保さんは振り返る。

 国の調査でも、孤立しがちなヤングケアラーの姿が浮かび上がっている。適切な支援につなぐために、相談体制の整備は急務だ。

 国が昨年実施した中高生計約1万3000人へのアンケートによると、ケアを担う中学2年(全体の5・7%)と高校2年(4・1%)のそれぞれ3分の2が「誰にも相談したことがない」と回答した。

 自由意見欄には「いくら助けを求めても誰も気付いてくれない」「暗い話をすると空気が悪くなるので話せない」「否定はせず話だけ聞いてほしい」などの切実な声が並ぶ。

 国は支援に当たり、相談待ちでなく当事者に積極的に働き掛ける「アウトリーチ」を重要視する。鍵を握るのは教職員らだ。

 文部科学省の担当者は「生徒自身が状況を整理できていないケースもあり、相談を待っているだけでは発見できない。積極的に家庭訪問するなどして状況を把握し、学校生活の中でのわずかな変化を見逃さないことが大切だ」と訴える。

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