障害者作業所、苦しい運営 コロナ禍で製品販売と受託作業が減少
新型コロナウイルス禍が障害者作業所の運営にも影を落としている。各種イベントの中止や企業の業況悪化で、製品販売の落ち込みや受託作業の減少に直面。コロナ禍の収束が見通せない中、新たな販売方法や販路の開拓を迫られている。
仙台市太白区の生活介護事業所大野田はぎの苑は1981年の開所以来、施設利用者らによる絞り染め製品の販売を続ける。新型コロナの感染拡大以降、福祉イベントへの出店や定期的な出張販売が軒並みなくなり、現在は区役所で月1回あるバザーが頼みの綱だ。
マスク不足が深刻化した昨春、絞り染めの布製マスク作りを新たに開始。売り上げが一時的に伸びたが、マスクの流通が正常化した後は低迷が続く。飲食店向けの箸の袋入れなど受託作業による収益はコロナ禍前の1割以下に落ち込んだ。
寿優子施設長は「昨年のマスクの売り上げで今はしのいでいるが、作業に当たる施設利用者への給金は減っている。4月以降が心配だ」と表情を曇らす。
はぎの苑を運営する社会福祉法人仙台市手をつなぐ育成会によると、生活介護、就労継続支援の各事業を実施する育成会の14施設の平均で、2020年度の作業収入や施設利用者への給金は19年度同期比でそれぞれ1割近く減少した。自家製パンや喫茶など対面型販売の収益の落ち込みが、宅配需要増で逆に好調だった箱折り作業などの収益を上回った。
コロナ禍で失われた販売機会をどう埋め合わせるかは、人づてを頼りにほそぼそと営業してきた多くの障害者作業所に共通する課題だ。育成会の千葉厚子理事長も「バザーに出店して売るといったアナログな手法を長年続けてきたため、販売のノウハウやセンスに乏しい」と認める。
育成会は各施設にインターネット販売を導入するよう促す方針。千葉理事長は「コロナ禍で変わった環境は収束後も元には戻らないだろう。私たち自身も変わる必要がある」と話す。
育成会のウェブサイトで各施設の連絡先や取扱品を紹介している。
(この記事は「読者とともに 特別報道室」に寄せられた情報を元に取材しました)
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