カツオ豊漁、浜値100円台に下落 経費割れの懸念も

水揚げされたカツオ。近年にない豊漁だが、価格低迷にあえぐ=8日、気仙沼漁港

 生鮮カツオの水揚げ24年連続日本一を誇る気仙沼市魚市場が、記録的なカツオの取引価格低迷にあえいでいる。新型コロナウイルスの感染拡大を受けた外食需要の激減に加え、全国的な豊漁による供給過剰が浜値下落に拍車を掛ける。昨年は水揚げ不振に苦しんだ関係者。豊漁にもかかわらず、利ざやが上がらない皮肉な現状に頭を痛める。

キロ159円の安値

 市魚市場を運営する気仙沼漁協によると、2010年以降の生鮮カツオの水揚げ量と1キロ当たり単価はグラフの通り。16年の341円を最高に200円以上の水準で推移してきたが、今季は6月末時点で159円にとどまり最低。関係者は「100円台は記憶にない」と口をそろえる。

 今月8日に48トンを水揚げした宮崎県日南市のカツオ一本釣り船「第21愛宕丸」(119トン)の杉本亨介漁労長(52)は「経費割れしないようにするのが精いっぱい。この状態が続けば船をやめる人も出かねない」と表情を曇らせる。

 背景には、近年にない漁の好調ぶりがある。気仙沼漁港の6月末時点の水揚げは5987トンで、同時期の水揚げとしては10年以降で最も多い。カツオの不漁で各船がビンチョウマグロ漁を優先した昨年同期の約6倍に上る。

 全国的にも同様の傾向で、漁業情報サービスセンター(東京)によると、6月末時点の全国の水揚げ量は2万3287トンで、前年同期の3倍を超える。同センターは春先に好漁だった九州付近の海域での漁獲が総量を押し上げたと分析。その後も太平洋沖に広く群れが点在しているという。

 取引価格低迷のもう一つの要因は、昨年から続くコロナ禍による需要減少。主軸の外食需要は、飲食店の営業時間短縮や酒類提供自粛に伴い落ち込む。12日には大消費地の東京都で4度目の緊急事態宣言が発令されるなど回復のめどは立たない。

 「今年は関西方面からの注文もない。価格が下がるのは市場原理として仕方がない」と気仙沼市の水産物卸会社幹部。大きさも脂の乗りも上々なだけに戸惑いを隠せない。

 現在、漁場の中心は常磐沖で、徐々に北上して三陸沖に近づくとみられる。気仙沼漁協の臼井靖参事(57)は「豊漁は喜ばしいのに漁業者を思うと心苦しい。戻りガツオの季節へ向け、コロナ収束と需要回復を祈るしかない」と話す。

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