ワクチン不足に家族苦悩 高リスクで面会制限の重症心身障害児者

感染対策が徹底された仙台エコー医療療育センターの施設内。入館者の通路も分けられている

 新型コロナウイルス禍が重症心身障害児者と家族の生活に影を落としている。本人が感染すれば命の危険につながる可能性がある上、家族は面会制限で会うこともままならない。期待するワクチン接種も供給不足に直面し、家族は翻弄(ほんろう)され続けている。(報道部・大橋大介)

 仙台市青葉区の重症心身障害児者入所施設「仙台エコー医療療育センター」に5月初旬に入所した男性(28)の50代の両親は感染防止のため約2カ月間、男性と面会できなかった。
 男性は仮死状態で生まれ今も重い障害がある。気管切開し、食事は鼻からチューブで取る。両親は今春まで在宅介護を続けたが、将来を考えて入所を決めた。
 気管切開すると感染しやすく、人工呼吸器の装着も感染で重度の呼吸不全に陥るリスクが高い。110人が入所するセンターは職員の行動管理や家族の立ち入り制限など、感染対策を徹底している。
 6月下旬から半月に1度、1時間だけ面会できるようになったが、母親(53)は「家族も含めてワクチンを打たないと安心して会えない。早く不安な生活から抜け出したい」と訴える。
 重症心身障害児者のワクチン接種は医療従事者、高齢者(65歳以上)に続く60~64歳と同等の優先順位にある。センターは個別接種の医療機関として登録し、入所者への早期接種を目指したが、7月に入り表面化した全国的なワクチンの供給不足で計画が二転三転した。
 当初は7月5日に接種を始める予定だったが、仙台市から配布量を再調整すると通知があり白紙に。12日に新たな配布方針が市から伝えられ、ようやく開始のめどが立った。
 センターには在宅の重症心身障害児者の家族から「いつ接種できるのか」などの問い合わせがあるが、市が個別接種の新規予約受け付けを停止している現在、回答できずにいる。
 センターの天江新太郎院長は「重症心身障害児者は高齢者と同等か、それ以上の感染リスクがあるのに目が向けられていない。政府や自治体の認識不足が原因だ」と指摘する。
 ワクチン確保への不安は、同様に重症心身障害児者が入所する太白区の国立病院機構仙台西多賀病院も抱える。市との調整を経て12日の接種開始にこぎ着けたが、病院の担当者は「市には2回目のワクチンも確実に確保してもらいたいが、結局は国の供給次第。1回目のように進められるかは分からない」と話す。

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