「優先のはずが予約取れない」 仙台の対象者ら、接種の遅れを懸念

 新型コロナウイルスワクチン不足で、仙台市が指定した優先接種対象者が不安を募らせている。基礎疾患など切迫した事情があるものの、個別・集団接種は予約再開のめどが立たず、大規模接種も予約枠がすぐに埋まり、早期接種を受けられずにいる。新型コロナ対応を巡る舌戦が続く市長選(8月1日投開票)の陰で、置き去りにされたような思いを抱えている。

(上から時計回りに)予約停止を知らせる市のサイト、市の集団接種、ファイザー製ワクチンのコラージュ

 青葉区の会社員佐藤利夫さん(62)は高血圧と気管支ぜんそくの持病があり、「基礎疾患」「60~64歳」で優先対象となった。6月中旬に接種券が届き、かかりつけ医で予約を試みたところ、空きがなかった。
 集団接種か大規模接種で予約を取ろうと電話をかけ続けたが、一向につながらない。政府が目指す希望者全員の接種完了は11月末。佐藤さんは「年内に打てるかどうか」と落胆する。
 高血圧のまま肺炎になると心臓に負担がかかり、重症化しやすいとされる。一刻も早く接種したいのが本音。だが、「重度の呼吸障害があるなど、もっと先に打つべき人もいる。心境は複雑だ」と打ち明ける。

 優先接種者には小中高校の教職員も含まれる。市が16歳未満の接種方針をいまだに定めない中で、現場は児童生徒に感染させないよう早期の接種を望む。
 ただ、個人で予約するのが原則のため、接種の進み具合は学校間でばらつきがある。「近隣校は校医の計らいで接種が進んでいるが、うちの学校は連絡すら来ない」。太白区の小学校の男性教諭(56)は嘆く。
 市には各接種会場で余剰ワクチンが生じた場合、会場近くの教職員、保育施設職員に優先接種するルールがある。男性教諭は「ずっと待っていたが、機会はなかった」とがっかりする。
 6月中旬にかろうじて個別接種の予約が取れ、今月末に1回目を受ける。だが、校内を見渡すと、接種券の到着が遅かった若手を中心に、ほとんどの教職員が予約を取れていない。
 「ワクチンを打つ前に校内で感染が広がったら、世間から『なぜ未接種だったのか』と批判を浴びるのだろう」と戦々恐々とする。

[仙台市の優先接種対象者]国が定める基礎疾患がある人や高齢者施設の従事者のほか、市独自に60~64歳、保育施設や学校の職員、介護・障害福祉サービス従事者らを対象に加えた。接種券が届き次第、予約手続きができる。それ以外の16~59歳は接種券が届いても予約開始日まで待つよう求める。予約開始日はまだ決まっていない。

「接客には感染リスク」 対象外の飲食店関係者も切望

 新型コロナウイルスワクチン接種を切望する声は、苦境に立たされる飲食店関係者にも広がる。仙台市の優先接種対象者から外され、21日には再度の時短も要請され「ダブルパンチ」。店は徹底した感染対策を講じるが、ワクチンなしでは限界を超えている。
 「感染者が増えると、真っ先に悪者になるのが飲食店。行政は従業員にワクチンを優先接種する考えはないのか」。仙台駅前の居酒屋の男性店長(42)は憤りを隠さない。全国には飲食店関係者を優先対象とする自治体もあるからだ。
 店は二酸化炭素濃度測定機を置き、換気を徹底するなど基本的な感染対策を講じ、市の飲食店PCR検査にも参加する。だが、時短要請による2次会需要の落ち込みもあり、客足は戻らない。食品ロスも重なり、累積する営業損失に頭を抱える。
 社員、アルバイト、パート従業員を合わせ計14人が働く。ワクチン接種は「常連客だけでなく、従業員の安心材料になる」と男性店長。楽天グループ(東京)の合同職域接種への参加を決め、従業員に推進する。
 学生アルバイトには「副反応が怖い」「熱が出るのは嫌」と消極的な声もあるが「接客には感染リスクが付きまとう。従業員を守るため、接種のメリットを伝える必要がある」と話す。

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