不具合露見、公共工事相次ぎ中断 前市政の「後始末」に恨み節

 福島県田村市発注の公共事業が相次いで暗礁に乗り上げている。4月の市長選でトップが交代した途端、ずさんな計画や原因不明の不具合が立て続けに露見して工事の中断が続く。「元をたどれば抑圧された市職員の職場環境に問題があった」。前市政から後始末を押し付けられた白石高司市長の恨み節が止まらない。
(郡山支局・矢野奨)

 

屋根の不具合が見つかって工事がストップしたままの屋内遊び場施設

「市長案件」だった

 新体制で臨んだ6月定例会。白石氏ら市幹部は釈明に大わらわだった。

 道の駅整備事業は、周囲に上水道設備がないため地下水の利用を見込んでいた。営業するには毎分100リットルの水量を確保しなければならないが、掘削調査で判明した水量は10リットル程度だった。

 ある市議は「開業時期まで決まっているのに、いまさら水を確保できませんとはお粗末が過ぎる」とあきれ顔だ。市は「年内に方向性を示す」(市建設課)としており、計画の白紙撤回も選択肢の一つという。

 震災復興事業の屋内遊び場施設は、本来なら7月開業の予定だった。しかし建設現場は今も足場が組まれたまま。施工業者から「屋根にゆがみが発生した」と報告があって工事はストップした。

 「設計、施工、監理の各業者から聞き取り調査を進めている」(市こども未来課)が、工事関係者は「指示通りに施工した」「設計に問題はない」と主張。問題解決の糸口は見えない。

 二つの公共事業は、4月の市長選で落選した前市長本田仁一氏が選挙戦でも1期目の実績としてアピールした「市長案件」(幹部職員)だった。

 トラブル発生の報告は市長選の告示前後には既に市に届いていていたはずだが、前市長の耳にまで達していたかどうかは定かでない。前述の市議は「自分の言葉で事情を説明することなく退任した」と憤る。

 「政敵」から厄介な宿題を押し付けられた格好の白石氏は「無きに等しい意思決定のプロセスが根本原因」と暗に前市長の振る舞いを批判。「職員の力を信じて解決策を探りたい」と当てこすってみせた。

 本田氏は取材に「話すことは特にない」と述べた。

[道の駅整備事業]磐越道船引三春インターチェンジ引き込み線と国道288号の交差点付近に計画。事業費は概算12億円で2023年度末の完成を見込んでいた。

[屋内遊び場施設]田村市中心部の船引運動場に計画。総事業費は約3億円で財源は震災復興特別交付金など全額国費。昨年8月に着工した。

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