震災句 1178人の祈りと哀惜 宮城県俳句協会、10年迎え第3集

宮城県俳句協会が刊行した東日本大震災句集「わたしの一句」

 宮城県俳句協会は、東日本大震災から10年に合わせて公募した句を収めた「十年目の今、東日本大震災句集 わたしの一句」を刊行した。2013、16年に続く第3集。鎮魂を祈り俳句の力で震災を風化させず未来へ伝えるのが目的。宮城県を中心に国内外から集まった老若男女1178人の句を収録した。

 「庶民の文芸」らしく、足元を見つめた市民の心情を映しだす。時の流れ方、震災との向き合い方は人それぞれだと分かる。10年たったから詠めた悲しみもあれば、変わらない哀惜、怒り、望郷の念もあった。

 東北からは現場に近いゆえの強い情念がにじむ。<福島の火蛾にならねばならぬかな>(仙台市・赤間学)<虎落笛とは成仏を拒む声>(宮城県松島町・今野勝正)<十年はまばたき月の凍る音>(仙台市・佐藤成之)<赤とんぼ追っているだろあの子らも>(大崎市・蘇武啓子)<捩花や決められぬまま九年逝く>(田村市・浅田正文)。

 東北以外からも放射能汚染への危惧、鎮魂と復興への祈りが届いた。<春浅し折鶴千羽束ねけり>(茨城県・永盛ケイ子)<赤児の声底から響く春の波>(さいたま市・原田寿美)<フクイチ鬼滅ぼす刃どの御魂>(さいたま市・丸山茂樹)<堤上の黙祷の手に春の風>(東京都・魚地妃夏)<桃の花被曝少女に恋生まれ>(千葉市・すずき巴里)

 県俳句協会の高野ムツオ会長(河北俳壇選者)は「これほど多くの震災句が寄せられたのは、被災地からの公募だからであり、被災者と心を共有したいという表れではないか。特に発生時にうまく気持ちを表現できなかった子どもたちが高校生となって送ってくれたのがうれしい」と話す。

 四六判187ページ。1冊1000円(送料込み)。連絡先は同協会事務局090(2982)7230。

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