「企業防災」が結ぶ慰霊の絆 日航機墜落36年、震災遺族が御巣鷹で祈る

 乗客乗員520人が犠牲となった1985年の日航ジャンボ機墜落事故から36年となった12日、墜落現場の「御巣鷹の尾根」(群馬県上野村)を東日本大震災の津波で亡くなった田村健太さん=当時(25)=の両親が訪れ、山頂付近に点在する慰霊碑に向けて静かに祈りをささげた。
(写真映像部・高橋諒)

 新型コロナウイルスの影響で2年ぶり6度目となる慰霊登山に臨んだのは、宮城県大崎市の田村孝行さん(60)と弘美さん(58)夫妻。長男の健太さんは、七十七銀行女川支店(宮城県女川町)に勤務中、上司の指示で支店屋上に避難し津波の犠牲となった。

 震災後、夫妻は企業防災の在り方を考える活動を始めた。企業が起こした全国の事故を調べる中、日航機事故で次男健君=当時(9)=を亡くした美谷島邦子さん(74)と出会い、交流を重ねてきた。

 震災10年を経て臨んだ今回は、野球が大好きだった健君の慰霊碑に、高校野球で捕手として活躍した健太さんの練習球を供えた。ボールには孝行さんが「愚直に一つ一つ」と書き添え、安全な社会づくりに向けて活動していくことを誓った。

 弘美さんは「事故が起きた年に健太が生まれ、名前の健の字も一緒。御巣鷹で美谷島さんと会う度に、その優しさに救われてきた」と感謝する。

 田村さん夫妻の来訪を受けた美谷島さんは「遺族の高齢化が進み、山に登りたくても登れない人もいる。慰霊に来てもらいありがたい」と話した。

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