「何のための認証か」仙台の飲食店恨み節 通常営業続ける店も

 新型コロナウイルスのまん延防止等重点措置が20日、宮城県に適用される。前回の措置解除から3カ月余り。仙台市内の飲食店は時短営業に加え終日の酒類提供停止も求められ、休業を選ぶ店が少なくない。飲食店が矢面に立たされ続ける泥沼の苦境に、経営者からは恨み節が漏れる。要請に応じず、通常営業を決めた店もある。

宮城県の認証店だが20日からの臨時休業を決めた天海のろばた本店=18日午後7時5分ごろ、仙台市青葉区中央1丁目

何のための認証か

 18日夜、青葉区中央の居酒屋「天海のろばた本店」。3、4組の客が酒や料理を楽しんでいた。「しっかり感染対策をしている店も一律にするのは厳し過ぎる」と若林区の会社員男性(51)がこぼす。

 「全国でも感染者が激増する中で仕方ないが、何のための認証店だったのか」。仙台を中心に同店など16店舗を抱えるスタイルスグループ(青葉区)の佐々木浩史社長(59)は、やり場のない思いを口にする。

 県独自制度の認証店として感染対策の「お墨付き」を受けた店舗のうち、市中心部の同店に絞って午前0時までの通常営業を続けてきた。だが重点措置は認証店も対象となる。

 同店など6店舗の20日以降の臨時休業を決めた佐々木社長は、疑念が拭えない。「一時的に感染者が減っても数カ月で時短などが繰り返されるのは目に見えている。らちが明かない」

 市内で居酒屋「酒蔵強三」など5店舗を経営するKYOTAファクトリー(青葉区)は夜の営業をやめ、ランチ限定で店を開ける方針だ。「ショックだが受け入れるしかない」。佐々木強太社長(46)は空いた時間を研修や視察に充てようと前を向きつつ「飲食店だけがやり玉に挙げられるのはやるせない」とも語る。

 居酒屋「串焼楽酒MOJA」を運営する「元気と情熱」(青葉区)は、県内の直営5店舗で午前0時までの通常営業を続けることを決めた。「アルバイトやパート従業員を守るために店を動かす」と右田若葉専務(54)。繰り返される営業制限に「茶番。これで収束するとは誰も思っていない。対策に経費をかけているのに『営業するな』とは、殺す気かと言いたい」と憤りを隠さない。

 市内で複数の居酒屋を営む企業も20日以降、深夜までの営業と酒類の提供を続ける。「通常営業で売り上げを確保しなければ倒産がちらつく」。経営者の男性(42)は話す。

 要請に応じて協力金を受け取っても、期間中、家賃などで1000万円以上の赤字となる見通しだ。「銀行の融資姿勢も厳しい。行政を敵に回したいわけではないが、経営を重視するしかない」

市民、効果を疑問視「どこまで防げるのか」

 新型コロナウイルスのまん延防止等重点措置対象地域となる仙台市では18日、措置の効果を疑問視する雰囲気が漂った。収束が見通せないことへの市民の不安は大きく、より厳しい規制を求める声も聞かれた。

 「酒の提供禁止と、さらなる時短営業でどこまで感染拡大を防げるのか」。宮城野区の会社員成沢政道さん(53)は、感染拡大のたびに繰り返される飲食店への規制強化に首をひねる。

 市内の飲食店は7月21日から午後9時まで、今月17日からは同8時までの時短営業を要請され、協力してきた。成沢さんは「その他の施設や満員電車でも感染の可能性はある。ロックダウン(都市封鎖)など、より強い対策をすべきでは」と話す。

 若林区の保育士小山優菜さん(23)も、飲食店を狙った要請を「『またか』と思う」と冷ややかに受け止める。「商業施設の滞在時間や入場者数を制限し、自宅待機など行動制限も呼び掛けた方がいい」と訴える。

 より踏み込んだ対策を望む市民は少なくない。青葉区の人材派遣業今野拓也さん(27)は「他の業種や一般の市民にも厳しい制限が必要ではないか」と指摘。同区の自営業高橋琢磨さん(36)は「県境をまたいだ移動で感染が広がる。全国を緊急事態宣言の対象とすべきだ」と強調した。

 なかなか進まないワクチン接種に対する市民のいら立ちもある。市によると、12歳以上の市民で2回目のワクチン接種を終えた割合は28・2%(11日時点)にとどまる。

 青葉区の無職佐藤幸子さん(74)は「接種が何よりの対策なのに供給不足で進んでいない。変異株で感染が拡大するのは分かっていたはずだ」と不満をあらわにした。

 宮城県内の新規感染者は18日、過去最多の271人に上った。うち仙台市以外が103人と、県内全域で拡大傾向にある。太白区のパート従業員大友里美さんは「仙台に隣接する名取市で酒類の提供が可能なら、あまり意味がない。周辺自治体も仙台と同じ基準にすべきだ」と語った。

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