新型コロナウイルスの感染拡大が続く福島県で、県の心のケア専用電話窓口に寄せられる相談件数が大きく減少していることが県への取材で分かった。「第3波」の1月が412件で最多だったのに対し、新たな変異株への置き換わりでさらに感染者が増えている直近の7月は45件にとどまっている(グラフ)。福島大災害心理研究所所長の筒井雄二教授(実験心理学)に、長期化するコロナ下の心理状況の変化などについて分析してもらった。
(福島総局・横山勲)
心の不安の相談件数が感染拡大の推移と一致しないのは、コロナ下の社会状況への慣れやコロナに対する学習が理由の一つと考えられる。感染が比較的身近に起こるようになったとみられる時期から件数が減っているのがポイントだ。
感染者が少ない時期は確実な情報が足りなかった。健康への不安、経済的な不安が募り、長期的な見通しを立てられない。自粛生活を迫られるなどストレスの強い社会状況が続き、感染者に対する差別や誹謗(ひぼう)中傷も噴出した。それが良い意味でも悪い意味でも感染症への新鮮味がなくなったことが、相談件数の減少に表れていると言える。
「優劣の構造」も影響していると感じる。人は動物的な反応として、欲求不満を抱くと攻撃的になる。他者より優位に立とうとして人をおとしめたり見下したりするのは自己肯定感を高められるからで、不安の裏返しでもある。
特に感染拡大の初期は感染者に対して「何らかの落ち度がある」と自分勝手に考えて見下す優劣構造がみられたが、次第に誰が感染してもおかしくない状況が浸透した。結果として心の不安は外向きの漠然多様としたものから個々の内向きな問題へと変化していると思われる。
同様の精神反応は東京電力福島第1原発事故の後も見られた。放射能によって生活圏が脅かされ、非常に強い社会不安が巻き起こった。被害を受けなかった人が優越感を抱き、被災者を見下す誤った考えが一部の人の心に生まれ、深刻な差別や誹謗中傷が相次いだ。
コロナ禍は私たちの心にさまざまな変化をもたらしている。不安は人間心理の問題であり、簡単に改善できるものではないが、他人を傷つける行為は許さないという姿勢を社会全体で示し続けることが大切だ。
いじめや体罰に対する受け止め方が一昔前と今では全く違うように、地道な努力の積み重ねで社会は変化し得るだろう。
[つつい・ゆうじ]学習院大大学院人文科学研究科博士後期課程単位取得退学。杏林製薬中央研究所勤務、福島大准教授などを経て、2010年から現職。56歳。埼玉県出身。
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