最後の木地師、三瓶さんの技を後世に 福島・只見町が動画制作

 福島県只見町で木地師をなりわいとする唯一の存在になった三瓶庄介さん(90)=同町深沢=の技を後世に伝えようと、町ブナセンターが三瓶さんの作業を紹介する動画を制作した。3月末に工房で取材し、5カ月間の編集作業を経て完成。今月20日、三瓶さん宅でお披露目会を開いた。

自宅の工房で、ろくろとかんなを操る三瓶さん=20日、福島県只見町深沢

 動画は、平ベルトで回す電動ろくろや、かんなを固定する「馬」と呼ぶ道具を操りながら製品を仕上げる三瓶さんの技をカメラで捉えた。木皿を作り上げる木取り、木取り加工、粗びき、外面と内面それぞれの仕上げびきの工程を紹介。鍛冶屋のようにかんなを手作りする作業、自作の砥石(といし)でかんなを研ぐ様子も盛り込まれた。

 見る人が理解しやすいよう、工程や道具を解説する字幕も付けた。8分4秒にまとめ、7月30日にユーチューブの町ブナセンター公式チャンネルに掲載。誰でも視聴できる。

 三瓶さんは同県南会津町生まれ。「この仕事で飯を食いたい」と木地師の世界に入り、20代の3年間ほど、日光の木地師の下で修業し、故郷に戻ってなりわいとした。だが、普及したプラスチック素材に押されて木地の器などの需要は少なくなった。土建業への転職や出稼ぎも経験したが、木地師の仕事が離れがたく、40代で再開した。結婚を機に移り住んだ只見町深沢で、牛舎跡に工房を手作りして木地師を続けた。

 ブナ、トチノキ、エンジュなどを材料に、木皿、盛り鉢、茶たくなどを作る。町の伝承産品として、町ブナセンターや宿泊施設「季の郷湯ら里」で販売されている製品もある。碁石を入れる碁け、茶びつなどを手掛けたこともある。

 自宅であったお披露目会で、妻のヒロシさん(84)と並んで動画を見た庄介さんは「工房や道具は自分で考えながら整えていった。(材料としての)いい木にはなかなか巡り合えない」などと木地師の半生を振り返った。ヒロシさんは「動画で残してもらってありがたい」と共に喜んだ。

 町ブナセンターの紙谷智彦館長は「ろくろを使う木地師の仕事は貴重で、記録しておきたかった。木工家、元ブナセンター職員、プロの動画カメラマンらの力を合わせて動画が完成した」と話した。

「木地師」
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