風評対策の実効性に疑問符 処理水海洋放出に反対の漁業者ら

 政府が処理水の海洋放出に向けて風評被害対策の中間案を公表した24日、福島県内の漁業関係者からは実効性や議論の進め方を疑問視する声が相次いだ。処分方針決定から4カ月余り。放出に反対する漁業者と国の溝は埋まらず、合意形成は依然見通せない。

2012年6月から続いた試験操業が今年3月で終了し、本格操業に向けて最初の水揚げがあった相馬双葉漁協魚市場=4月1日、相馬市

 「説明も話し合いも全く足りていない。新型コロナウイルス下で風評対策の議論は深まらず、これで誰が納得するのか」

 福島県新地町の漁師小野春雄さん(69)は憤りを隠さない。相馬双葉漁協によると、4月の政府方針決定後に国が組合員向けに開いた説明会は同月下旬の一度だけだった。

 政府と東電が6年前、処理水の処分について「関係者の理解」を事実上の要件とする約束を漁業者と交わしたことに触れ、「確約をしても破られ、今回は誰も信用していない。一方的に進められ、泣くのはわれわれ漁業者だ」と話した。

 「現状では首を縦に振れない」と強調するのは相双漁協の立谷寛治組合長。管内主力の底引き網漁は昨年9月、東日本大震災後初めて増産目標を掲げ、5年間の復興事業を始動させた。県全体でも、長く続いた試験操業から本格操業に向けて移行を始めたばかりだ。

 立谷組合長は「一番の望みは震災前のように漁業を営める状態になること。今回の政府案は漁業者が安心できる内容とは言えない」と指摘。「(基金新設などにより)魚を買い取る話があるようだが、具体的な枠組みが不明だ」と語った。

 いわき市漁協の江川章組合長は海洋放出に反対の立場を改めて示した上で「海洋放出ありきだ。買い取るといったって、漁業者の意見も聞かずどう買い取るというのか」と話した。福島県漁連の担当者は「国から説明があれば聞き、組合員の意見を集約しながら(中間案の)中身を精査したい」と話した。

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