登米市、職員の初任給を誤算定 最大210万円過少に支給

 宮城県登米市が職員の初任給の算定を誤り、給与支給に過不足が生じていたことが30日分かった。2015年度以降、計15人について誤った額を支払い、最大で210万円少ないケースもあった。市は「組織内の問題」として誤支給について公表していなかった。

 市職員の採用試験は上級(大卒程度)、中級(短大卒程度)、初級(高卒程度)に分かれ、区分ごとに初任給が決められている。免許が必要な職種を除いて受験資格は年齢のみとなっており、実際の学歴は問われない。

 市人事課によると、15年度以降、高卒者が上級の試験に合格するケースが発生。初任給は大卒者と変わらないが、他自治体や民間企業での勤務など入庁以前の職歴を加味する特例がある。特例で算定された給与基準の方が有利だった場合のみ、特例算定を適用するルールになっている。

 市では上級の高卒者の初任給算定に当たって全て特例を適用。このため9人が基準を下回る金額となった。6人については算定に誤りがあり、基準より高く設定されていた。

 低く設定された9人の給与は本来受け取れた金額よりも累計で約910万円少なく、1人当たりでは最大210万円だった。高く設定された6人の差額は計130万円だった。

 市は不足分について本年度、それぞれに一括で支払った。人事院規則などに従い、過払い分の返還は求めないという。

 対象者には今月1日、市長印が押された給与改定の通知書が出されたが、市人事課は「組織内の処遇の問題」として公表してこなかった。市総務部は「9月8日の市議会総務常任委員会で報告しようと思っている」と話している。

元職員の男性に手渡された給与訂正の通知書(画像の一部を加工しています)

「人生変えられてしまった」憤る元職員

 「最初から募集要項に書いてある正しい初任給だったら市役所を辞める必要はなかった」。元登米市職員の男性(25)は、差額分を受け取った今も納得がいかない様子だ。

 男性は高校卒業後、臨時職員やアルバイトなどを経験し登米市職員の上級試験に合格。2019年4月、入庁した。最初にもらった明細で初任給の給与号俸が低く設定されていることに気付き、市人事課に説明を求めた。

 市人事課の担当者の説明は「高卒者なので大卒者と修学年数の調整をしている」というものだった。給与は想定よりも2万円以上少なく、給与規則を読んでも納得できない。再度問い合わせても、「この給与で正しい」と取り合ってくれなかったという。

 奨学金の返済や家族への仕送りなどで、募集要項に記載されていた上級職の給与が必要だった。男性は市役所を9カ月で退職。民間企業に就職した。男性は「この後の生活を考えて上級職に挑戦したのに、人事課の職員がきちんと調べなかったことで自分の人生が変えられてしまった」と怒りを込めた。

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