「ネウボラ」「ドゥーラ」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか? 出産を間近に控える女性や、産後、何かと慌ただしいママをケアする官民の取り組みが多様化しています。どんな活動なのか、現場を訪れました。
(生活文化部・会田正宣、長門紀穂子)
妊娠から出産、子育てまで、行政がワンストップで切れ目なく支援する取り組みが「ネウボラ」だ。フィンランド語で「相談の場」を意味する。国は2017年度から、事業の拠点となる子育て世代包括支援センター開設を推進。宮城県によると今年4月現在、31市町村が設置する。
多賀城市は18年に「多賀城版ネウボラ」を始めた。JR仙石線多賀城駅前の子育てサポートセンターに「子育てコンシェルジュ」が常駐。ボールプールなどがある遊具広場や各種催しに足を運ぶ母親の相談に気軽に乗り、必要に応じて市の子育て支援課や健康課をはじめ専門機関につなぐ。
3人のコンシェルジュは保育士や幼稚園教諭の有資格者だ。リーダーの菊池理恵さん(51)は「子どもの成育や家庭状況を見通したサポートを心掛けている。ママが安心して話せる相手でありたい」とにっこり。
多賀城は19年県人口動態統計で、人口1000に対する出生率と転入転出率が県内1位。乳幼児のいる家庭の入れ替わりが激しい。小林紀代子育て支援課長は「ネウボラを始めて担当部署の連携が強化された。多様なニーズにスムーズに対応できるようになった」と説明する。
少子化が進む山元町は19年にネウボラをスタート。保健師、管理栄養士、歯科衛生士が子育て世代包括支援センターで、月1回そろって育児相談に応じる。
2歳と生後4カ月の2児を育てる会社員の目黒有莉さん(32)は「ふらっと訪れて、子育てのベテランに細かいことを相談できて助かる」と喜ぶ。
妊婦訪問も始めた。町保健福祉課の佐藤睦美健康推進班長は「新型コロナウイルス禍で里帰り出産が難しくなっている。町を挙げて子育て支援に力を入れて、ママの不安解消に努めたい」と話す。
「産後ドゥーラ」は産前産後の母親をケアする訪問型の専門職だ。利用者の依頼に応じて、新生児の世話や料理、洗濯、通院の付き添いなどを請け負う。料金は1時間当たり2000~3500円(交通費別)。宮城県では、一般社団法人「ドゥーラ協会」(東京)の養成講座を受けて資格を取った8人が活動する。
「今日もごきげんですね」。仙台市青葉区のドゥーラ菅原奈央さん(30)が、長尾絵梨さん(41)=同区=の次女胡麦(こむぎ)ちゃん(10カ月)をあやす。胡麦ちゃんと4歳の長女の世話や家事を定期的に担っている。
菅原さんは2018年の開業以来、65家庭をサポートした。夫や実家の協力を得られないママや、2人目以降の出産を控えた妊婦の利用が多い。「赤ちゃんの世話や家事に追われながら、体を休めるのは難しい。『母親ならできて当たり前』ではなく、『誰かの助けを借りてよい』ことを知ってほしい」と力を込める。
飲食店グループ役員の長尾さんは長女を産んで産後うつ状態を経験し、産前産後ケアの大切さを実感した。会社の福利厚生として、従業員向けに利用料の半額補助を始めた。長尾さんは「心強い存在が身近にいて子育てができれば、家庭だけでなく社会もハッピーになる」と話す。
コロナ禍の中、ドゥーラの存在感は増している。昨年4月に開業した中原絵梨香さん(29)=宮城野区=は1年間に約50件の依頼を受けた。里帰り出産ができず、近くに身内もいない人が少なくないという。オンラインでの育児相談も多い。
中原さん自身、3年前、長女を出産した際、近くに頼れる人がなく、香川県の夫の実家に身を寄せた。その経験から「自分が住む町で生み育てられる社会にしないと、少子化は解消しない」と訴える。
宮城大の塩野悦子教授(母性看護学)の話 産後の母体回復や育児指導を目的に病院などに滞在する産後ケア事業の利用者は年々増えているが、市町村への申請手続きが煩雑で申し込みを諦めるケースがある。一方、産後ドゥーラなど民間のサービスは潜在的ニーズは高いが、価格面などで家族の理解が得られないと申し込みに至らない。
里帰り出産や遠方の家族の助けが得られない状況下では、専門知識のある人が寄り添うことで母親の不安が和らぐ。行政は、さまざまなサービスの利用を促す努力が必要。母親たちもいろいろ試して、自分に合ったものを見つけてほしい。
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