【更新】ラムダ、ミュー、イータ…変異株から学ぶギリシャ文字 全24文字のどこまで出現?

ギリシャ国旗

 世界保健機関(WHO)は8月末、南米コロンビアで1月に発見された新型コロナウイルス変異株を「ミュー株」と命名した。世界的に監視が必要とされる変異株には、ギリシャ文字を冠した呼称が用いられる。24文字からなるギリシャ文字でミュー(μ)は12番目に当たる。残りは12文字。新たな変異株の出現はどこでとどまるか。(編集局コンテンツセンター・佐藤理史)

 当初、WHOは変異株が初めて確認された国名を呼称に使用した。5月末、呼称となる国への差別につながる恐れがあるとしてギリシャ文字を使う方針に切り替え、英国株、インド株をそれぞれアルファ(α)株、デルタ(δ)株などと言い換えた。
 WHOは感染力が強まったり、ワクチンの効果が下がったりする性質を持つとみられる変異株を「懸念される変異株(VOC)」と分類し、警戒を強める。これまでにアルファ、ベータ(β)、ガンマ(γ)、そして日本国内で「第5波」を引き起こしているデルタの4株がVOCに指定されている。
 VOCには至らないまでも、ワクチンの効果などに影響を与える可能性がある変異株は「注目すべき変異株(VOI)」として動向を注視する。イータ(η)、イオタ(ι)、カッパ(κ)、ラムダ(λ)の4株にミューを加えた計5株がVOIに位置付けられる。
 世界の変異株の発生情報を集約するサイト「アウトブレーク・インフォ」によると、9日現在、日本国内での確認例はイータ17、イオタ5、カッパ27、ラムダ3となっている。
 ミュー株は南米や欧州で感染が確認されている。日本国内では6月と7月に空港検疫で、アラブ首長国連邦(UAE)と英国に滞在歴がある2人の感染が分かった。コロンビアとエクアドルで増加傾向にあるものの世界的な広がりは見られず、詳しい性質もまだ分かっていない。

円周率のπ、総和のΣ…数学や物理で幅広く使用

 ギリシャ文字は、数学や物理、天文といった幅広い学問で記号として用いられてきた。円周率のパイ(π)、総和のシグマ(Σ)などが有名だ。
 尚絅学院大の今井誠二教授(新約聖書学)は「数学や物理学の基礎と根幹は古代ギリシャの哲学者によって編み出され、ほぼそのまま踏襲・展開されてきた」と解説する。変異株に使われることには「ギリシャ文字は現代の価値から切り離された中立的な記号として定着した。日本でイロハニホヘトがナンバリングに使われるのと同様、特別な理由はない」と推察する。
 この機にギリシャ文字の書き方や発音を覚えたい人向けに、今井教授がユーチューブ動画を2本紹介してくれた。一つは「キラキラ星」のメロディーに合わせて歌う定番の覚え方。もう一つは、書き順が音楽付きのアニメーションで示されている。

ギリシャ文字の数え歌
ギリシャ文字の読み方と書き順

ωまで使い切ったらローマ字か星座か

 ミュー以降のギリシャ文字はニュー(ν)、クサイ(ξ)、オミクロン(ο)と続き、最後がオメガ(ω)。変異株がオメガを超えて25以上出現した場合、呼称の在り方は改めて検討されるとみられる。
 その先を考えるとき、天文学のバイエル符号がヒントになりそうだ。
 仙台市天文台によると、バイエル符号は星座を構成する星に明るい順にギリシャ文字を振る命名法。例えば七夕の織り姫星として知られるベガは「こと座アルファ(α)星」となる。
 バイエル符号ではギリシャ文字を使い切ったらラテン文字(ローマ字)のAを使用し、その後は小文字のb、c、d…zと続ける。「ただ、肉眼で見える6等星までなら各星座はギリシャ文字の範囲に収まり、ラテン文字に至ることはほぼない」と天文台職員。変異株の呼称もそうなることを願うばかりだ。
 また英紙テレグラフ(電子版)によると、星座の名前にちなんで命名される可能性があるという。その場合、オリオン株やカシオペア株が登場することになるかもしれない。

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