植栽15年、念願の会津産漆を採取 漆塗りのぐい飲み来春にも完成

 会津地方の自然が育む特産品を通じ、地域の活性化を目指すNPO法人はるなか(会津若松市)の漆部会(吉田徹部会長)は、植栽を続けてきた漆の木から本格的な漆液の採取を始めた。酒販店と連携し、初採取の漆液を塗ったぐい飲みを、日本酒の愛飲家に届ける企画も進めている。

漆部会のメンバーと共に漆液を採取する平井さん(右)=5日、喜多方市慶徳町

 江戸時代の会津地方は、漆の木が100万本あったという記録も残る一大産地。1963年に年間650キロあった会津産漆の生産量は近年は10キロまで減少している。漆部会は2006年に植栽地を探し始め、会津若松、喜多方2市の4カ所で漆の木を増やし、現在900本までになった。

 漆の木には日当たりや風通しがよい土地が必要で、漆液が採れるようになるには15年かかるとされる。漆部会の約30人は15年間、冬季以外は草刈りを続け、病気や害虫対策にも心を砕いてきた。当初は茨城県産の苗木を使っていたが、5年前から自前の苗作りにも取り組んでいる。3000本の植栽が目標だ。

 今年6月、最初に植えた喜多方市の60本から漆の採取を始めた。中心になっている郡山市の塗り師で漆かき職人の平井岳さん(32)は「天候や木の状態、幹の形などを見極めながら採取する傷の付け方を変えるのが難しい」と話す。10月下旬まで5日に1度ほどの間隔で作業を続け、合計約10キロの収量を目指す。

 ぐい飲み作りは会津若松市の渡辺宗太商店とのコラボレーション企画。日本酒のセットに、ぐい飲みと漆の植栽や漆器制作の物語の資料を加えるという。

 制作には30代以下の職人約10人が参加し、既にデザイン5種を決定した。現在は木地作りを進め、12月以降に塗りや蒔絵(まきえ)の工程に入り、来年4月までに完成させて提供する予定だ。

 漆部会副部会長の小松愛実さん(32)は「ずっと草刈りをしてきて、漆液を採取できるようになったのは感慨深い」と話し、塗り師として漆器作りに励む。

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