学校の「大雨防災」進む 岩手、内陸部中心に安全マップ作り

小学生と一緒に安全マップ作りに取り組む盛岡市下橋中の生徒

 2016年8月の台風10号など多発する豪雨災害を教訓に、岩手県内の学校が河川氾濫や土砂災害に関する防災教育と避難訓練に力を入れている。東日本大震災の津波で甚大な被害を受けた沿岸部だけでなく、内陸部でも児童生徒の命を守る取り組みが続く。
(盛岡総局・横川琴実)

避難経路見直し、訓練

 「川沿いは雨が降ると危ないよね」「避難先はどこだろう」

 盛岡市下橋中(生徒245人)の生徒が7月30日、地域安全マップ作りに挑戦した。保護者や地域住民、学区内の小学生と通学路の危険箇所を確認した後、白地図にシールを貼り付けてマップを完成させた。

 3年田村京己(けいき)さん(15)は「大雨時の避難場所や浸水範囲を知ることができた。家族で共有したい」と感想を語った。

 校舎は中津川沿いにあり、洪水浸水想定区域に位置する同中は本年度、学区内の小学校2校と連携した防災教育を始めた。マップ作りに先立ち、6月3日には、教員に河川氾濫時の対応を学んでもらうため、3校合同の研修会を開いた。

 松葉覚校長(59)は「生徒自身の目で地域を見ながら、災害リスクとともに地域の歴史や特徴も学んでほしい」と意義を強調する。

 県教委は震災後、防災意識や地域への愛着を育む「いわての復興教育」を推進する。沿岸部の学校が震災伝承や津波対策に取り組む一方、内陸部では地域特性を踏まえ、大雨防災を取り上げる学校が増えている。

 学校教育室の小松山浩樹主任指導主事は「全県的に防災教育を展開した成果が出ている。地域や保護者との連携も進む」と手応えを口にする。

 「前のお友達と離れないで歩いてください」。6月22日、盛岡市杜陵小(児童213人)であった避難訓練。青空の下、教員が約800メートル離れた河南公民館まで児童を誘導し、保護者に引き渡した。

 浸水想定区域にある同小は昨年度、避難確保計画を作成した。訓練を通じて、川沿いを移動するという計画の問題点が確認できた。新型コロナウイルス感染症の対策が求められる中、迎えに来た保護者が密集する場面もあった。

 吉田信一校長(60)は「より安全に避難させるため、経路の見直しを始めた。待機場所のホールが人でいっぱいだった場合の対応も考えたい」と話す。

 洪水浸水想定区域や土砂災害警戒区域内に位置する県内の公立学校は約110校ある。4月時点で全校が避難確保計画の策定を終えたが、訓練を実施したのは約8割。県教委は先進校の事例を紹介し、残りの各校にも訓練を促している。

 学校防災アドバイザーを務める岩手大地域防災研究センターの越野修三客員教授(危機管理学)は「実効性の高い計画の策定や防災教育を進めるには、教員自身が地域の特性を知ることが最も重要。学ぶ場をさらに増やす必要がある」と助言する。

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