受験生への優先接種、山形の全13市が前向き 不安材料はワクチン確保

 新型コロナウイルスのワクチン接種で受験生を優先するかどうか、山形県内で市の対応が割れている。県が対応を要請したのに対し全13市が前向きな姿勢だが、2市は実施時期など具体的なめどを示せる状況にない。ワクチン接種が進まず、若年層まで届かないのが要因。先行する自治体もワクチン確保に不安を抱え、早期の追加供給を求める。

受験生への優先接種を発表した天童市の報道発表資料

知事が配慮を要請

 吉村美栄子知事が、来年1~3月に高校、大学の入試を控える受験生のワクチン接種を優先するよう市町村に配慮を求めることを表明したのは、8月31日の臨時記者会見だった。2回の接種と抗体獲得までの期間を考慮し「今提起しておいた方がいいと考えた」と理由を述べた。

 全13市に取材したところ、12歳以上の接種を進めている市を含め、11市が対応に着手していた。

 東根市は今月6日、受験生への優先接種を決めた。中学3年と高校3年の計約900人に接種券を前倒しで送る。10月前半の集団接種で30代の市民用に確保していた枠の一部を受験生に回す苦肉の策だ。

 天童市は2日、本年度に18歳となる496人へ接種券の前倒し送付を発表。「受験や就職活動で県外との往来が必要なため」と説明する。米沢市は3日、15歳と18歳の優先接種日を9、10月に計3日間設けた。寒河江市は対象生徒を抽出し接種券を送る予定。

 若年層の接種で先行する市からは、ワクチンの安定供給に不安の声が上がる。

 12歳以上の接種が進む山形市。受験生約4500人のうち約3200人が接種や予約を済ませたが、残る人数分の確保はこれからだ。佐藤孝弘市長は2日の定例記者会見で「余地のない状況。受験が近づくにつれ『打ちたいな』という人も出てくると思う」と述べ、国に追加配分を求めた。

 長井市も12歳以上の予約枠8000人分が埋まり、現在は予約受け付けを停止中。追加枠を10日に発表する予定で、担当者は「予約状況を見て、供給量が厳しい場合は受験生の専用枠も考えたい」と話す。

酒田、鶴岡両市は調整中

 未定は酒田、鶴岡の両市。ワクチン不足で接種が滞り、例外を除き若年層の接種はまだ先だ。「供給のめどが立たず実施時期を示せない」(鶴岡市)「条件が整えば実施したいが、ワクチン確保も含めて調整中」(酒田市)と苦慮する。

 県の要請を受け、接種計画の見直しを急ぐ各市。ある市の担当者は「ワクチンが足りない。受験生以外にも接種を待つ市民が大勢いる。供給枠をしっかり確保してから(知事には)ああいった発言をしてほしかった」と苦言を呈した。

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