聞こえてきたのは漂流船の「SOS」 鳥海山で交信中のアマ無線家ら、救助に貢献

漂流船との通信中、桜井さんがとっさにつづったメモ。右はアマ無線機器を積んだ車の写真

 8月下旬、新潟県沖で漂流していた小型船の遭難信号を宮城県大崎市松山のアマチュア無線愛好家桜井幸夫さん(59)が偶然受信し、他の愛好家らと連携して情報収集を進め、新潟海上保安部(新潟市)による乗組員2人の救助につなげたことが6日、分かった。

 桜井さんは8月21日午後8時45分ごろ、秋田、山形両県にまたがる鳥海山の鉾立登山口駐車場(にかほ市)でアマ無線の交信中、雑音混じりの「SOS、SOS」という声をキャッチした。いたずらの可能性も考えたが、確認すると漂流船からの受信と判明、すぐに110番した。

 通報は第2管区海上保安本部(塩釜市)経由で新潟海保に届いたが、小型船は電源を失って船舶無線が使えず、乗組員の携帯電話も通じない状態。新潟海保にもアマ無線の設備がない。

 唯一の通信手段となったアマ無線で桜井さんが乗組員の名前や船の状況を聞き出し、新潟県内のアマ無線愛好家らを通じて同海保に情報を伝えた。

 情報を基に新潟海保は現場海域を捜索し、翌22日午前2時半ごろに小型船を発見、えい航した。この間桜井さんは乗組員との交信を続け、「これから救助に行くので頑張って」と励ましたという。乗組員の男性2人にけがはなかった。

 新潟海保によると、船は「第七昇龍丸」(9・9トン)。沖縄県の男性が北海道で購入して沖縄に戻る途中で故障し、佐渡市北北東約55キロの沖合で漂流していた。海保の担当者は「早急に適切な情報を関係先に通報していただき、人命を救助することができた。大変感謝している」とたたえた。

 桜井さんは「新潟方面の電波が入りやすいところに偶然いてよかった。アマ無線が人命救助にも役立つことを知ってほしい」と話す。
(この記事は「読者とともに 特別報道室」に寄せられた情報などを基に取材しました)

河北新報のメルマガ登録はこちら

企画特集

先頭に戻る