高齢ドライバーによる交通死亡事故が多発し、社会問題化しています。運転免許の自主返納を促す動きがある一方で、車のない生活への不安から、返納をためらう人は少なくありません。地域での移動支援の充実度が大きく左右しそうです。返納へ向けて運転の条件を絞っていく「補償運転」も注目されています。(生活文化部・菊地弘志)
ドライバー歴約50年という石巻市の浅野よしゑさん(86)は、今年3月に愛車を手放した。運転免許の期限は来年2月だが、更新する意思はないという。
これまで無事故、無違反で運転に自信はあったが、2019年に高齢者の運転する車が暴走し、母子が死亡した東京・池袋の事故をきっかけに、離れて暮らす家族から返納を勧められていた。
浅野さんが運転をやめる決断をした背景には、地元の三ツ股地区で17年12月に始まった地域の支え合い活動「コミュニティー・カーシェアリング(CCS)」の存在があった。
CCSは東日本大震災後、一般社団法人日本カーシェアリング協会(石巻市)が始めた。カーシェア会に登録した会員間でレンタカー1台を共同利用し、運転できない高齢者の移動を支える。「車がなくても安心。これならいつでも返納できると思った」と浅野さん。
会の予約係が、利用者とボランティアのドライバーの日程を調整する。日常の外出支援の場合、利用者は5キロごとに500円を預けて、後日、利用割合に応じて精算し、ガソリン代や車の維持費などを分担する。
浅野さんは週1回の買い物や月1回程度の通院に活用する。「近所の人たちと一緒に出掛けて、おしゃべりができる。日帰りで遠出することもあり、楽しい」
CCSは市内10地区と宮城県南三陸町の1地区、県外10地区に広がった。会員は約800人で、平均年齢は77歳。協会代表理事の吉沢武彦さん(42)は「公共交通機関の乏しい地域では、とりわけ高齢者のニーズが高い。生活の足となる支援がなければ返納は進まないだろう」と指摘する。
悩みを抱える地域に役立ててもらおうと、協会はCCSの導入プログラムを作成。現地に赴き、車の貸し出しやひな型のルールを説明している。吉沢さんは「最初は石巻のやり方で試してみて、自分の地区に合った仕組みをつくり上げてほしい」と呼び掛ける。
75歳以上の運転者が免許を更新する際、記憶力や判断力を判定する認知機能検査を受ける必要があり、認知症と診断されれば免許取り消しや停止となる。来年6月までに改正道交法が施行される見通しで、一定の違反歴がある場合は運転技能検査を義務付けられる。
法規制が厳しくなる中、日本交通心理学会(東京)副会長で九州大大学院の志堂寺和則教授(59)=交通心理学=は、加齢に伴う運転技能の低下を補う「補償運転」を提案する。
まず、家族が車に同乗して本人の運転状況を確かめる。チェックポイントは(1)車にこすったような傷がないか(2)駐車場の枠内に止める際、何度も切り返していないか(3)直前の信号機の変化に気付いて対応できているか-などだ。志堂寺教授はこれらをクリアした上で、補償運転をするよう求める。
代表的な心得は表の通り。「年を重ねると運転技術を過信しがちになるが、身体機能や判断力は衰えていく。ドライバーの状態に合わせて取り入れてほしい。補償運転をしながら、免許返納後の移動手段をどう確保するか、情報を集めておくことも大切」と語る。
志堂寺教授は自身が監修した「免許返納セラピー」(講談社刊)の中で、家族が返納を説得する際の要点を挙げる。普段からコミュニケーションを取っておくことが大前提で、運転で世話になった感謝の気持ちを伝え、返納後の生活を無理のない範囲でサポートするようアドバイスする。
宮城県警によると、65歳以上の高齢者による運転免許の返納状況はグラフの通り。増加の一途をたどってきたが、新型コロナウイルス下の2021年は8月末現在で4495人と、前年同期比で437人下回った。返納の抑制は全国的な傾向で、コロナ下で外出を控えたためとみられる。
免許返納者が希望すれば運転経歴証明書(有料)が交付される。顔写真付きの身分証明書になり、住所変更や再発行もできる。4495人中約9割が交付を受けた。
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