学校司書の存続危うし PTAが直接雇用、郡山市の小中学校

 郡山市の小中学校で学校司書の存続を危ぶむ声が高まっている。各校のPTAが直接雇用する全国的にも珍しい仕組みを維持してきたが、児童生徒の減少で破綻が懸念されるためだ。市は「今後の在り方を検討する」と説明するものの、特異な雇用形態を見直すかどうかは判然としない。

司書の机が配備されている郡山市内の小学校図書室

 「私の雇用主はPTAの会長さん。毎年1回、雇用契約にサインしなければならず、不安定な身分を痛感する」。市内の小学校で働く司書の女性はこう語る。

 学校司書を雇用している大半の市町村が自主財源から人件費を支出する中、郡山はPTA会費に人件費を上乗せして保護者から徴収。1959年から60年以上続く仕組みで、現在は半額を市が補助している。

 郡山市立の小・中・義務教育学校76校のうち司書を配置するのは72校。雇用されている司書は計70人で、掛け持ち勤務も2例ある。

 文部科学省の調べでは、昨年度の全国の司書配置率は小学校で68・8%、中学校で64・1%。郡山の94・7%は全国平均を大きく上回ってトップクラスだ。

少子化で保護者の負担増

 一方で、ある小学校の校長は「学校が自前で報酬を払い続けるのは限界」と語る。急激な少子化で保護者一人一人の負担は相対的に増加傾向にあり、これまで20校前後のPTAが会費を増額せざるを得なかった。

 市PTA連合会が昨年10月に実施したアンケートでは、雇用形態を見直して市による雇用を望む意見が6割に上った。小中学校長会も市雇用への転換要望を表明している。

 前述の女性司書は「保護者の方々に報酬を負担してもらうのは心苦しい」と胸中を吐露。本来は職務外だが「後ろめたさもあって運動会の準備や職員室の電話番など雑務も引き受けてきた」と打ち明ける。

 PTA雇用の見直しは、市議会でも再三取り上げられてきた市政課題だ。9月定例会では複数の市議が「学校司書の配置は自治体の努力義務」と明記した改正学校図書館法を根拠に市雇用への転換を迫っている。

 ここで市当局は「電子書籍導入による学校図書館のデジタル化を視野に協議を続ける」との考え方を示した。類似するのが、2019年の臨時国会で日本維新の会が繰り出した主張だ。

 当時、与野党は全会派一致で学校司書の配置増を求める国会決議案の提出を検討。土壇場で維新が「近い将来、司書の仕事は人工知能(AI)で代替可能になる」と反対し、お蔵入りになった経緯がある。

 市は今後も有識者で構成する「学校図書館のあり方に関する懇話会」などに諮るとしているが、結論を示す時期や方向性については明言を避けている。

[学校司書]学校の図書室で購入図書の選定や利用促進、子どもの読書指導を行う専門事務職員。近年、授業での図書室利用が増えたことから全国で配置が進んでいる。2015年施行の改正学校図書館法に初めて役割が明記され、全校配置を目指すとされた。一方で非正規雇用による不安定な身分保障が問題になっている。

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