「ハチに刺された」被害の投書相次ぐ 駆除業者、月内の注意呼び掛け
「ハチに刺された」。本年度、本紙くらし面の投稿欄「ティータイム」にハチに関する文章が複数寄せられている。「今年は目にする数が多い」との声も聞かれるが、宮城県内の専門業者によると、巣の駆除件数は横ばい状態。7月中旬以降の好天で活動が活発化するのが早まり、目に付きやすくなったのが真相のようだ。業者は「10月いっぱいは注意を」と呼び掛ける。
「7月半ばに庭木の枝を切ろうとしたらスズメバチ2匹に腕を刺された」と投稿したのは仙台市若林区の主婦柴田かつよさん(76)。庭木に巣ができているのに気付かず、刈り込みのため木を揺すったところ攻撃された。「今年は乾燥しているからか、ハチが多い。手製の捕獲器で300匹ほど撃退した」と話す。
ただ、複数の専門業者に聞くと、駆除件数は例年通り。年間約200件の依頼をこなす「ハチ駆除仙台」(若林区)の代表佐藤隆信さん(45)も件数に変化はないというが、5月上旬から問い合わせがあり、7月には依頼も多くなるなど、動き出しが例年より1、2カ月早まったという。
佐藤さんら業界関係者は「原因は7月の暑さ」と口をそろえる。中旬以降に好天が続き、気温上昇で活性化が促され巣作りの速度が上がった。例年より早く見掛けるようになり、増えたと感じる状況が生じたとみられる。毎年依頼が集中するお盆前後は雨が多く、7月より件数が減ったという。
このところは暑さも一段落したが、ハチは秋口まで活動を続けるとされ、まだ警戒が必要だ。佐藤さんによると、注意点や巣作り予防のこつはイラストの通り。最近の柔軟剤は甘い香りがする物が多いといい、洗濯物は1度はたいてから取り込むなど普段からの用心が求められる。
自然が相手なので対策には限界があり、気を付けていても巣を作られることはある。近年問題化している空き家の増加などで、知らぬ間に隣家に巣ができて難儀することも考えられる。
駆除業者の団体「県ペストコントロール協会」会長で、総合防虫管理「三和商事」(太白区)社長の佐藤昌司さん(65)は「巣は9月末にバレーボール大になる。見つけたらすぐにプロに任せて除去するべきだ」と説く。ハチがいそうな場所に行く際は黒い服を着ない、香水を付けないといった基本的な対策も大切だという。
(生活文化部・桜田賢一)
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