台風19号2年 被災のトマト栽培、ようやく始動 「支援へ恩返し」

新施設の工事現場で被災当時を振り返る半沢さん=大郷町大松沢

 2019年10月の台風19号豪雨で、完成目前だった大規模農業施設が浸水被害を受けた宮城県大郷町の会社「東北アグリヒト」が再起への準備を進めている。「チャンスをもらったことに感謝したい」。町などの支援を仰いで新たな施設を整備し、被災から2年余りを経た真のスタートに向け、21年度中の稼働開始を目指す。

 大郷町大松沢に賃借する民有地約5・3ヘクタールで、22年2月の完成に向け同社の高機能グリーンハウスの整備が進む。今は基礎工事の真っただ中。無数のくいが見える現場で、取締役の半沢文典さん(39)=利府町=が語る。

 「復活する姿を見せることが、地元の人たちへの一番の恩返しになる」

 同社は農業法人サラダボウル(山梨県中央市)の子会社で、17年に設立。19年から大郷町でトマトを栽培し、通年で出荷する施設の整備を計画した。台風の直撃を受けたのは、建設した施設がほぼ完成し、引き渡しを約1週間後に控えた時期だった。

 真新しい施設は大人の背丈ほどまでに漬かった。「当初は復旧できるレベルと思っていた。電気機器や基礎の部分が駄目になり、ゼロからのスタートになった」と半沢さんは振り返る。

 被害額の算定や資金調達などのめどが立ち、被災から1年半を経た21年4月、新施設の着工を迎えた。被災前の計画と同規模の3ヘクタールのハウスで、10アール当たり35トンの収量を見込む。事業費は約20億円。

 この間、町が環境省と協議し、被災した旧施設を災害廃棄物として撤去。約1億8000万円の費用は町などが負担した。

 「自分たちの力だけでは新たなスタートは切れなかった。この地で、安定的な営農を実践したい」。感謝の思いを胸に、半沢さんは再建の日を見据える。

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