今年のノーベル物理学賞に決まった米プリンストン大上席研究員の真鍋淑郎さん(90)の米ニュージャージー州の自宅に、栗原市築館出身の民衆詩派詩人白鳥省吾(1890~1973年)の詩の墨書が飾ってあった。栗原市の白鳥研究家らは真鍋さんと白鳥のつながりに関心を寄せている。
栗原市栗駒の白鳥省吾研究会代表・佐藤吉一さん(71)によると、詩は1922年発行の第6詩集「共生の旗」に収録された「夕景」の第1連の抜粋。夕景は3連構成で、小牛田駅(宮城県美里町)から石巻港(石巻市)に向かう列車で見た厳冬期の農村の貧しさが描かれている。
夕景の第1連について、白鳥は著作で「何もかも石のように凍りついて生気というものがない上に、灰色の煤(すす)の降るさまは世にもわびしい哀愁を誘う」などと解説した。
真鍋さんは、コンピューターで気温の変化を予測する気候モデルを世界で初めて考案し、地球温暖化研究の基礎を築いたことが評価されて受賞が決まった。
佐藤さんは、作中の「雪の白」「氷に閉ざされし」などの表現に着目。「情景が見えてくるような白鳥の自然現象の描写が気候の研究とつながり、真鍋さんは関心を持ったのではないか」と推察する。
白鳥の息子の東五さん(84)=東京都=はノーベル物理学賞の新聞記事を読んだ際、白鳥の墨書を見つけた。「真鍋さんの研究へのひたむきな姿勢と、父の詩に対する態度が相通じると思った」と話す。
真鍋さんは東大大学院で博士号を取得し、58年に渡米した。研究人生の大半を過ごした米国では、日本の文学作品に触れる機会は限られていたと思われる。「どうして夕景を選んだのか、ぜひ聞いてみたい」と東五さん。佐藤さんも「なぜ白鳥に興味を持ったのか知りたい」と興味を示す。
真鍋さんは、井上靖の詩「渦」を抜粋した墨書も自宅に飾っていた。
凍えゆく夕暮の曠野(こうや)は
暗紫にところどころ雪の白を點(てん)ず、
煤(すす)けたる汽罐(きかん)の轟(とどろ)きにつれて
雲のやうに躍りつつ靡(なび)く煙は
寒き地の肌に氷に閉ざされし枯草に雪の上に
煤(すす)ふらし咽(むせ)びゆく、
凍る細き流れに添うて
誰か朧(おぼ)ろな一人の影の黒く歩いてゆく。
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