台風「上陸」していないのは 今年は宮城、福岡が初 難コースも

 「台風○号が××市付近に上陸」「□□県への上陸は観測史上初めて」。夏から秋にかけて毎年のように日本に接近する台風。今年は宮城(7月28日、8号)、福岡(9月17日、14号)両県への初上陸がそれぞれ話題になった。上陸していない都道府県はどれくらいあるのだろうか。台風の経路や勢力の傾向を過去70年の統計から調べた。(編集局コンテンツセンター・藤沢和久)

 日本に近づく台風は主にフィリピンの東海上で発生し、低緯度で西に移動した後、偏西風に乗って北東に進む。気象庁は「台風の中心(気圧の最も低い部分)が北海道、本州、四国、九州の海岸に達した場合」を上陸と定義し、1回目の上陸地点を記録する。

 1951年以降、上陸したのは213回。都道府県ごとの回数の多寡は、都道府県の位置関係や地理的要因が大きい。

 20回を超える鹿児島、高知、和歌山、静岡の4県はいずれも南に海が広がる。9月に初上陸した福岡は北と東の海岸線が狭い。上陸していない14都府県のうち佐賀や香川、岡山など半数は他県に囲まれている。

 針に糸を通すような経路をたどる台風もある。広島には3回、大分と愛媛の間の豊後水道を抜けて上陸。紀伊水道の奥の兵庫にも1回、達した。

 近年は日本付近の海水温が高く、勢力が衰えないまま東日本や北日本に近づく例が増えている。東北では青森が2回、岩手、宮城、秋田が各1回、山形、福島は0回。計5回のうち2010年以降が3回に上る。

 岩手を襲った16年8月の台風10号では、岩泉町を中心に関連死を含めて29人が犠牲になった。東日本の太平洋側に上陸するのはこのときが初めてだった。

 気象庁アジア太平洋気象防災センターの担当者は「上陸の有無にかかわらず、台風の中心付近が近づくと災害の危険がより高まる。台風の接近時は最新の情報を確認し、行動してほしい」と話す。

2019年8月15日に広島県に上陸した台風10号の経路(気象庁ホームページから)

[メモ]熱帯低気圧のうち最大風速が17・2メートル以上に発達したものが「台風」。範囲は赤道以北、東経100~180度。北インド洋のものは「サイクロン」、南太平洋、180度経線以東の北太平洋、北大西洋では「ハリケーン」(最大風速33メートル以上)と呼ぶ。気象庁は、小さな島や半島を短時間で横切る場合は上陸に当たらない「通過」と定めていて、沖縄は海のない8県とともに統計から除く。

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