生活保護制度からこぼれ落ちた低所得の家庭をどう救うか。新型コロナウイルス下、民間支援に頼らざるを得ない現実がある。
仙台市太白区の無職藤田碧さん(41)=仮名=。シングルマザーとして小学生の長女を育てる。中学生の長男は宮城県内の実家で離れて暮らしている。
保育士として働いていた。体調を崩し、現在は休養を余儀なくされている。収入はゼロ。公的手当と元夫からの養育費はあるものの、家賃と携帯電話代に消えてしまう。
生活困窮者向けに家賃相当額を公費補助する「住宅確保給付金」は、求職活動中が条件のため対象外だ。生活保護を受けようにも、子どもの学資保険が資産と見なされ申請できない。
生活に余裕はない。今春には積み立てた学資保険を解約するかどうか迷った。「希望する進学先に行かせてあげたい。取りあえず、ぎりぎりまで頑張ろう」。当面は貯金を取り崩して生活費に充てると決めた。
今夏、藤田さんは相談に訪れた区役所で、同区長町1丁目の子ども食堂「おりざの食卓」を紹介された。NPO法人「おりざの家」が運営し、週1回、手作り弁当を無料で提供する。
雑穀米にお麩(ふ)の黒酢あんかけ、長芋とオクラのニンニク風味漬け…。肉を使わず野菜中心の献立が多い。「手間暇を掛けていることが分かる。受けたことのない愛情を感じた」。手にした藤田さんは感激した。
長女も「次のお弁当が楽しみ」と笑顔を見せてくれた。自粛生活が続く中、親子で食堂に出掛けることが何よりの楽しみになった。
厚生労働省の国民生活基礎調査によると、中間的な所得の半分に満たない家庭で暮らす18歳以下の割合を示す「子どもの貧困率」は2018年、13・5%だったが、ひとり親世帯に限ると48・1%に跳ね上がる。
おりざの家の登録者もコロナ後は100人を超え、4倍になった。飲食店などサービス業で働く非正規雇用の親が職を失い、子ども食堂を頼る事例が増えた。
民間支援はもはや困窮家庭の「命綱」。ただ、運営の足元は心もとない。おりざの家が受け取る市の助成金は年間わずか20万円。善意の寄付などがあり、何とか続けているのが実情だ。
佐藤宏美理事長(60)は「食を通じて子どもの心を育むことが活動の原点。弁当の回数を減らしたり、食材費を抑えたりすることはできない」と踏ん張る。
衆院選(31日投開票)で与野党は子どもの貧困対策を公約に掲げる。政府も子ども関連政策の司令塔「こども庁」の創設を目指す。
だが、藤田さんの心には響かない。「困窮するにはそれぞれ理由がある。なのに行政はルールに縛られてばかり。相談しても仕方がない」。血の通った民間の手が親子を優しく支える。
(報道部・古賀佑美)
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