「クマ剥ぎ」の杉林被害、宮城で相次ぐ 枯死や価値低下の要因

 宮城県内の杉林で、ツキノワグマによって樹皮を剥がれる「クマ剥ぎ」の被害が目立っている。皮を剥がされた杉は材木としての価値が下がったりするため、大和町で今月上旬に開かれた研修会では、林業関係者が被害状況や対策などを確認し合った。

クマによって剥ぎ取られ、牙の跡が残る杉=宮城県大和町・台ケ森COOPの森

 研修会は7日にあり、森林組合や森林管理署の職員ら10人余りが参加した。県内の国有林などで植林に取り組むみやぎ生協COOP緑の基金運営委員会が初めて主催した。

 親川麗子委員長(73)は「クマは木の実などが不足する6~8月ごろに樹皮をかじり取って、樹液などから栄養を補給すると言われている」と説明した。

 クマ剥ぎに遭った杉は腐敗して枯れたり、材木としての商品価値が下がったりするとし、実態の把握や対策の必要性を訴えた。

 参加者は緑の基金が林野庁と契約を結び、同町吉田の国有林3・2ヘクタールで5000本以上の針葉樹や広葉樹を植えた「COOPの森」へ移動。クマの牙によって根元から高さ2メートル近くまで樹皮が剥ぎ取られた木などを見学した。目視できるだけで50本以上の被害があるという。

 また、長野県のプラスチック製品会社が開発し、クマの目線に近い高さに巻き付けて使うベルト状の忌避剤の使い方を学んだ。

 参加した大崎森林組合(大崎市)の今野耕一副参事(71)は「クマ剥ぎの被害はあまり認識されてこなかった。杉を守るため、注意しながら作業したい」と語った。

 宮城県林業技術総合センターなどによると、県内では2010年度以降、少なくとも白石市、七ケ宿町など9市町でクマ剥ぎの被害が見つかっているが、全容の把握は難しいという。

 親川さんは「行政機関が現場で作業する森林組合などを通じて実態を把握するべきだ。野生動物による森林被害の研究者を増やし、市民にももっと関心を高めてほしい」と求める。

クマが嫌がるベルト状の忌避剤を巻く作業=7日、大和町内

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