遠刈田の森にチーズケーキ店 税理士目指す30歳男性、独学で起業

 宮城県蔵王町遠刈田温泉七日原の森に今年5月、ひっそりと開業したチーズケーキ専門店「Zao樹(もり)のなか」が話題になっている。土日祝日のみの営業で、目立つ看板もない。おいしさと手頃な価格、店主の親しみやすい人柄が人気の秘密のようだ。

人気の4種盛りセット。小ぶりであっさりしていて食べ飽きない

 店主の布川樹(みき)さん=仙台市泉区=は宮城大非常勤講師の経験を持ち、税理士を目指して勉強に励む30歳。「実務の経験を積むために」と挑戦したところ、口コミで県内外で話題となり「想定を超えて忙しくなってしまった」と恐縮する。

 販売するチーズケーキはかぼちゃくるみ、ピスタチオ、マロンなど約10種類。いずれも小ぶりで価格は1個200~220円と抑えめに設定され、いろいろな味を楽しむことができる。白石市の女性保育士(38)は「お手頃感やお店の腰の低い感じがいい。お土産にもしやすい」と常連になった。

 布川さんは起業前、本格的に菓子作りをしたことがなく、商売の経験もなかった。当初は「畑で野菜を作って何かできれば」と考えていたが、2018年に現在の物件を見つけると「チーズケーキの専門店は少ない」と思い立ち、独学でケーキ作りを研究。内装や外構の工事も2年かけてDIY(日曜大工)でやり遂げた。

店の前の畑で「大根の収穫体験なども提案したい」と話す布川さん

 店は国道457号から細い道に入った杉林の中にある。「SNS(会員制交流サイト)の時代。お客さんも面白がってくれるはず」。周囲は心配したが、挑戦する楽しさの方が勝った。マーケティングや会計の知識を駆使し、良質の食材を使い、どこまで安く提供できるか。何度も足を運んでもらえる店が理想だ。

 祝日用の仕込みが間に合わず徹夜になることもあるが、布川さんは「楽しく、幸せに働かせてもらっている」と苦にしない。ゆくゆくは実家を出て拠点を移し、税理士資格を取っても店を続けようと考えている。

 この半年間、蔵王や周辺の人たちの温かさを肌で感じてきた。「地元に愛される、地元の常連の人たちを大事にする店にしたい」

 営業は午前10時~午後4時。連絡先(平日のみ)は050(3188)1203。

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