グレタさんは「朗らか」 COP26で東北大生が感じたこととは

 「すごく朗らかでした」。スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさん(18)に会った印象を、東北大3年の時任晴央(はるひさ)さん(23)がこう語る。13日まで英国で開かれた国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)にオブザーバー参加していた。地球温暖化対策の徹底を求める大規模なデモ行進などを通して感じたこととは。(編集局コンテンツセンター・佐藤理史)

COP26の会場近くで「気候正義」を訴える時任さん=英グラスゴー、11月2日(本人提供)

 時任さんは1年半前から、グレタさんをきっかけに始まった抗議活動「フライデー・フォー・フューチャー(未来のための金曜日、FFF)」の日本組織に加わる。10月27日~11月14日、高校生と大学生のメンバー4人と現地へ渡った。

 小規模集会で対面したグレタさんは朗らかに笑っていた。「ただの高校生という感じで、親近感が湧いた。対立を招くとか、強硬路線という感じは受けなかった」。気候変動を憂う等身大の若者の姿と映った。

 演説で、もう一つの顔を見た。「知識に裏付けられた言葉の一つ一つは重みがあり、説得力があった。簡潔にまとめられ、心を動かされた」。科学的な根拠を示しつつ、理路整然と主張を展開していたという。

 にもかかわらず、テレビで見るグレタさんはいつも同じ。眉間にしわを寄せ、各国首脳を苛烈に批判する。

 「怒ってるところばかりがフォーカスされる」と時任さん。「彼女の戦略の一環かもしれないし、欧米では受け入れられるかもしれない。しかし、日本では冷ややかに見られ、危機感がうまく伝わっていない」ともどかしさを口にする。

 時任さんは東京都町田市生まれ。農学部で環境経済学を学ぶ。科学者として環境問題に関わるつもりだったが、FFFの勉強会をきっかけに「気候変動による深刻な事態を避けるため、残された時間は少ないと知り」、運動に参画した。

 活動のハイライトは5、6の両日、計18万人(主催者発表)が参加した大規模デモ。病院や鉄道などさまざまな業界の従事者が気候変動への不安や危機意識を自由に発信する姿に「驚きと新鮮さを感じ、勇気づけられた」と振り返る。

 「『これが若者が普通に抱いている気持ちなんだよ』と数で示し、政府や企業に圧力をかける。日本でも一刻も早くアクションを起こし、現状を変えていかないと」と刺激を受けた。

COP26の会場近くで横断幕を掲げる時任さん(中央)=11月2日、英グラスゴー(本人提供)

残念な反応

 会場を訪れた岸田文雄首相に「若い世代のことを考えて」と直訴する機会もあったが、残念な反応だったという。「(立ち止まらず)歩いていってしまった。演説でも具体的な政策に踏み込まず、あまり関心がないのかな」

 国内で活動を広げるに当たり「左翼的なものと捉えられてはいけない」と注意する。レッテルを貼った批判コメントは日頃から多く受けているが「右か左かではなく、草の根の運動として上、下を重視したい。ナンセンスな分断は本当に意味がない」と強調する。

 地球温暖化は「異常気象が増えるだけと表層的に捉えられがち」な日本で、より多くの人を運動に巻き込んでいく道筋はあるのか。激しい怒りや批判は物事を動かす力になりうるが、近寄りがたい印象も与える。

 「例えば『脱石炭』を訴える時は、石炭関連で働いている人たちの保障も合わせて考えたい。未来志向のサクセスストーリーを伝えていきたい」と思い描く。

 [グレタ・トゥンベリさん]2003年スウェーデン・ストックホルム生まれ。18年8月、15歳で金曜日に学校を休み、スウェーデン議会前で地球温暖化対策を訴える「未来のための金曜日」を始めた。活動は各国の若者の共感を呼び、世界規模の運動に発展した。

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